待望の豪腕タイプ
ロッテは7月4日、阪神との交換トレードで石崎剛を獲得したことを発表。入団会見を終えた石崎はその後ブルペンにも入り、井口資仁監督、吉井理人投手コーチが見守る前で捕手を座らせて投球を披露した。
2017年には26試合に登板。サイドから繰り出す最速155kmの直球で打者をねじ伏せて、防御率1.17と抜群の安定感を見せた石崎。サイドから繰り出す最速155kmの直球は球威があり、井口監督をはじめロッテの首脳陣は、守護神・益田へとつなぐ終盤のセットアッパーとして期待しているようだ。
現在同じポジションには、今季30試合以上に登板している酒居知史、益田直也、西野勇士、田中靖洋、20試合以上に登板しているチェン・グァンユウ、東條大樹、唐川侑己、松永昴大らがいるが、いわゆる豪腕タイプがおらず、石崎のように直球で押し込み、三振を奪える投手がいなかった。阪神では充実したリリーフ陣に入り込めない形となっていたが、ロッテではチャンスがあるはずだ。
昨季は夏場以降にリリーフ陣が崩壊
昨季のロッテは前半戦で善戦しAクラス入りを狙える位置につけていたものの、最終的には最下位の楽天とわずか1ゲーム差の5位と低迷した。7月中旬に不動のリードオフマンである荻野貴司が手の骨折で離脱したことが大きな要因だったが、それと同じくらい響いたのが、前半戦で酷使されたことによるリリーフ陣の疲弊だった。
2017年、2018年に侍ジャパン入りの経験を持つ石崎の加入は、リリーフ陣の厚みを増すことにつながる上に競争意識も高まり、ブルペンに様々な相乗効果をもたらすはずだ。2018年6月に右肘のクリーニング手術を受けて以降は阪神の1軍で主だった活躍を見せられなかったが、環境が変わることで再び成功を手にするだけのポテンシャルを持っている。
球威が健在であればクローザーも
阪神でも侍ジャパンでもセットアッパーとして登板してきた石崎。順当に考えればセットアッパーとしての起用が妥当だが、2017年に見せていた球威が健在であれば、クローザーを任せてもいいだろう。サイドから繰り出される直球は打者の手元でホップするような勢いがあり、かつての藤川球児を彷彿させるものがあった。
何と言っても奪空振り率が魅力で、2015年8.2%、2016年5.6%だった奪空振り率が、2017年は11.1%にまで上昇。直球の平均球速を見てみると、2015年は143.5km、2016年は146.3km、2017年は151.1kmと年々球速がアップしていた。
現在、守護神を務めている益田もトルネード気味の変則フォームから時折150kmをマークする時もあるが、安定感に欠ける投球が目立ち、首脳陣もファンも毎度やきもきしながらその投球を見つめている。今季の奪三振率は8.22と高くなく、走者をためてしまった時など、ここぞの場面で三振がなかなかとれないもどかしさがある。
石崎の全盛期の安定感、球速、球威にはかなわないし、むしろ石崎の全盛期がこれから訪れる可能性も否めない。全ては石崎のコンディション次第だが、クローザーとしてマウンドに君臨する姿を想像できる投手だ。
ロッテで活躍し再び侍ジャパンへ
石崎は2017年11月に開催されたアジアプロ野球チャンピオンシップに侍ジャパンのメンバーとして招集され、激闘となった韓国戦の7回に登板。一人目の打者相手に150~152kmの直球を連発して空振り三振を奪い、二人目、三人目の打者も危なげなく内野ゴロに打ち取った。
2018年3月に開催されたオーストラリアとの強化試合にも招集された石崎は再び躍動。一人目を三球三振、二人目は空振り三振、三人目は内野ゴロと三者凡退に抑え、稲葉篤紀監督からの信頼を勝ち取っていた。石崎がロッテで再び活躍を見せることができれば、再び侍ジャパン入りも見えてくる。
今秋には第2回プレミア12が開催され、来年には東京五輪、再来年には第5回ワールド・ベースボール・クラシックと主要な国際大会が目白押しだ。石崎にはロッテのセットアッパーとしてのポジション確立はもとより、再び侍ジャパンの一員になれるような活躍を期待したい。環境の変化が、再び石崎を輝かせる機会となることを願っている。