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ヤクルトの若き大砲・村上宗隆と中山翔太にかかる期待

2019 7/7 11:00勝田聡
東京ヤクルトスワローズの村上宗隆ⒸSPAIA

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村上宗隆は松井秀喜以来の20号に到達

7月4日の終了時点で31勝46敗2分(勝率.403)のヤクルトは、5位の中日と3ゲーム差、3位のDeNAとは7.5ゲーム差と、上位浮上への兆しがなかなか見えてこない。チーム防御率4.62、チーム打率.237はともにリーグ最下位。投打ともに結果が出ていないのが現状である。

しかし、チームは着実に生まれ変わろうとしている。懸念でもあった「世代交代」が不完全ながらも、進みつつあるのだ。

その筆頭格が村上宗隆。高卒2年目の大砲候補は、開幕スタメン起用からここまで全試合に出場。7月3日の広島戦では、松井秀喜以来となる25年ぶりに高卒2年目以内での20本塁打を満塁弾で記録した。セ・リーグ打点王争いでも62打点で単独トップと、19歳とは思えない活躍ぶりでチームを牽引している。その一方、打率.230は規定打席到達者のなかでリーグワースト2位。まだまだ確実性は低い。

しかし、筒香嘉智(DeNA)にも、高卒3年目の2012年に打率.218でリーグワーストを記録していた過去がある。大きく心配することはないだろう。若いうちは縮こまらずに思い切りのよい打撃を続けてほしい。

また、守備面でも12失策でリーグワースト2位。バント処理など記録に残らないミスも目立っている。もちろん練習は必要だが、それを取り返すだけの打撃を持ち合わせ、次代の主軸としての期待があるからこそ、首脳陣は起用し続けているのだろう。

ドラフト2位の中山翔太も即結果

2018年ドラフト2位の中山翔太も頭角を現してきた。右の長距離砲としてドラフト時から注目を浴びていた中山は、交流戦期間中に一軍へ初昇格。当日は代打で登場したプロ初打席で初安打、初打点を記録。決してよいあたりではなかったが、それでもしぶとく三遊間を破ったのは「もっている」証しだ。

その後はスタメン起用も増え、6月22日のロッテ戦からは村上の後ろである5番に座り、その期待に応えるかのように、ここまで打率.348、4本塁打と好成績を残している。

打率を見てもわかるように、中山はコンタクトにも優れている。体勢を崩されながらもバットに当てるさまは、フリースインガーとは少し違う。まだまだプロの変化球についていけない部分はあるが、これは経験を積むことで改善されていくはず。打率も残せるスラッガーとしての資質がありそうだ。

両翼を任されている守備面では打球の追い方に少し不安があるものの、最低限の守備は可能。これから改善の余地はあるが、まずは打撃で結果を残すことに力を注ぎたい。

世代交代をきっかけに

青木をはじめ、雄平、バレンティン、坂口智隆、大引啓次とベテラン選手が多いチームにとって、高卒2年目である左の村上、大卒ルーキーである右の中山と次代の主軸候補が一軍で結果を残しているのは心強い。

本来であれば、二軍で実戦を積んでいてもおかしくはない年齢。過去には、山田哲人も高卒2年目の一軍出場はわずか26試合。青木宣親も大卒1年目は10試合の出場で、打率.200だった。当然、その頃とチーム事情は異なるのだが、現在リーグを代表する若かりし日の先輩よりもチャンスを与えられているのは事実。そして、それに応える結果を残している点も見逃せない。

最下位という現状通り、チーム状態は決して良くない。しかし、若い選手たちによる「世代交代」を起爆剤とし、ひとつでも順位を上げることへの足がかりにしたい。

※数字は2019年7月4日終了時点

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