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ロッテ・荻野貴司と鈴木大地 活躍の影で気になるFA動向

2019 7/6 11:00浜田哲男
ロッテ・鈴木大地ⒸYoshihiro KOIKE
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ⒸYoshihiro KOIKE

今や12球団屈指の1、2番コンビに

ロッテの荻野貴司と鈴木大地の勢いが止まらない。両選手ともに交流戦で好調を維持し、6月は共にリーグ2位の32安打をマーク。6月の月間打率は荻野が.348、鈴木が.344とハイアベレージを残した。また、鈴木が6月中に放った7本塁打は、ソフトバンクのグラシアルや松田宣浩と並んでリーグ1位。21打点は西武の中村剛也に次ぐリーグ2位の成績だった。

リーグ戦に戻ってからも互いに好調を維持しており、7月4日終了時点の荻野の打率は.340でリーグ1位。鈴木は.303とコンスタントに安打を積み重ねている。2人で得点を挙げるケースも多く、6月29日の楽天戦では荻野の二塁打と続く鈴木の同点打で降雨コールドの引き分けに持ち込んだ。

6月22日のヤクルト戦では、荻野が5打数4安打1盗塁。鈴木が2本塁打を含む4打数4安打4打点の活躍でチームを勝利に導いた。まさに今、12球団で一番勢いのある1、2番コンビと言っても過言ではないだろう。両選手の活躍を見ていると、1、2番の働きがいかに勝利に直結するかがよく分かる。

互いに開幕時は控え

今季は、荻野も鈴木も開幕スタメンではなかった。オープン戦で荻野の打撃が振るわなかったこともあり、1番中堅にはルーキーの藤原恭大が抜擢され、鈴木の定位置だった三塁には新加入のレアードが入った。

しかし、1番に起用されていた藤原や岡大海らの打撃が上向かずに荻野が起用されると、そこから打線がつながるようになり、2番に起用されていた加藤翔平や藤岡裕大、角中勝也らの不振を受け、5月上旬から鈴木が2番に入るとさらに機能。SNSでも「荻野貴司、鈴木大地の1、2番は間違いなく12球団一やろな」「やっぱオギダイコンビなんだよな。この2人だけで得点のケースすごく多い」といった声が目立つようになった。

両選手の月別の打率を見ると、荻野は平均して高打率をマークしており、鈴木は右肩上がりであることが分かる。

荻野貴司・鈴木大地月別成績

ⒸSPAIA


こうした活躍を受け、荻野も鈴木も監督推薦でオールスターに選出されている。特に荻野は昨季も選出されながら直前に負傷しており、オールスター初出場は叶わなかった。今季こそ夢舞台での活躍が期待される。

両選手共に記録と記憶に残る活躍

荻野は自己記録更新中の連続試合安打を20に伸ばしており(7月4日終了時点)、球団記録まであと6としている。

鈴木に関しては、殊勲打(先制打、同点打、勝ち越し打、逆転打となる安打)が14本でリーグ5位。さらに今季は既に12球団最多となる3本のサヨナラ打(7月4日終了時点)を放つなど勝負強さを見せており、シーズンの折り返し地点ではあるが、現在のところはまさに記録と記憶に残る活躍といえるだろう。

活躍の影で気になるFA動向

互いにキャリアハイの成績を残せる可能性のあるシーズンを送っているが、ファンにとって気になるのがFA(フリーエージェント)の動向だろう。プロ10年目の荻野は5月31日、出場選手登録日数が7年に到達し、国内FA権を取得。鈴木は4月12日、出場選手登録日数が7年に到達し、国内FA権の取得条件を満たしている。

12球団屈指の快足と広角に打てるシュアな打撃はもちろん、1番打者として相手バッテリーにかけるプレッシャーは計り知れず、勝敗を左右するほどの影響力を持つ荻野。内外野を守れる上に勝負強く、類い希なリーダーシップでチームを牽引し、チームリーダーとして存在感を放っている鈴木。チームにとっては両選手とも、決して欠かすことのできない重要なプレーヤーだ。

荻野は今年で34歳になるが、まだまだ脚力は健在で、今季終盤まで首位打者争いをしようものならば欲しがる球団はあるだろう。鈴木は今年で30歳。油がのっている上、何よりも強いリーダーシップがあり、複数ポジションを守れる上に怪我にも強い。特に今季見せているような勝負強さも魅力だ。手を挙げる球団が複数あってもおかしくない。

SNSには、「フロントの方々へ。鈴木大地と荻野貴司のFAの引き止めを全力でお願いします」「本人がどう思うか分からないけど、千葉ロッテマリーンズの荻野貴司でずっと居てほしいな」「鈴木大地がFAで出ていったら号泣する自信がある。残留しても号泣する自信がある」「オリックスファンとしても喉から手が出るほど欲しいし、各球団それくらい欲しいと思うけど、鈴木大地は紛れもなくロッテの象徴」「FAは選手の権利だし、移籍するのも自由だと思う。でも大地だけは別格。絶対残留させるべきだ!」といった声が寄せられている。

シーズンが終わりFAの時期ともなれば、チームへの愛、キャリアアップ、球団からの誠意、家族の事…様々な事が頭の中で交錯するだろう。もちろん最終的に決めるのは権利を得た本人ではあるが、両選手共にロッテ以外のユニフォームを着ている姿が想像できないぐらいの存在だ。今季、ロッテが巻き返していけるか否かも、この2人の出来によるところが大きい。

とはいえ、まだシーズンの折り返し地点。荻野にも鈴木にも、まずは怪我なくシーズン最後まで駆け抜けてほしいと願っている。そして、キャリアハイもしくはそれに相当する成績を残したのなら、球団は適切かつ最大限の評価をもって引き留めるべきだろう。チームには出してもいいプレーヤーと出してはいけないプレーヤーがいる。これからシーズンが進むにつれ、ロッテの1、2番には様々な観点から注目が集まりそうだ。