与四球率リーグ2位でも3勝6敗
好投しても勝てない。今季からFAで阪神に移籍した西勇輝が白星に恵まれない。6月21日の西武戦でプロ野球史上149人目の通算1000奪三振を達成したものの、またしても勝ち星はつかなかった。
今季、ここまで登板した13試合すべてで先発。リーグ4位の防御率2.76と安定した数字を残しているが、星取りとしては3勝6敗の負け越し。スタンドで観戦する虎党からも「なぜ?」という声が多い。
データを見れば、より投球の安定感が浮き彫りになる。西の持ち味である制球力は健在で、与四球率(BB/9)1.675はリーグ2位。1.232で同1位の広島・大瀬良はすでに6勝(4敗)、2.259で同3位の中日・大野でさえ4勝(5敗)を挙げている。本来、西の勝ち負けは逆になっていてもおかしくないということだ。開幕からローテを守り、13試合中10試合でクオリティースタート(6回以上を自責点3以内)と安定感を発揮しているだけに、不思議ではある。
勝負所での粘り不足
なぜ勝てないのか。投手の成績を評価するには、まだシーズン半ばとあって早計だが、ここまでは勝負所での粘りに欠ける面を露呈している。
前々回登板となった14日のオリックス戦(京セラドーム)では8回途中5失点で6敗目。この試合では初回、ロメロに許した2ラン以外はほぼ完璧な投球をみせていたが、2点リードの8回、小田、後藤に連打を浴び一、三塁とされると福田に左前適時打を許した。一気の3連打で1点差。犠打を経て一死二、三塁で藤川にマウンドを譲ったが、救援に失敗しこのイニング計4失点で敗戦が決まった。
矢野監督は「俺が一個(判断が)遅れたくらい。継投が遅れたかなというのは反省」と選手を責めることはなかったが、勝ち切れなかったのは悔やまれる。
この試合は移籍後初の古巣との対戦だった。試合後の西は「力不足。ただ、それだけです。終盤が課題なので、乗り切れるようにいいイメージをしながら次のマウンドに上がりたい」と悔しさを噛み殺した。
勝利投手になったのは5月10日の中日戦が最後。チーム関係者は「投球のテンポも抜群だし、打線もリズムよく点を取ってくれてもいいんだけど、思う通りにはいかないですね」と噛み合わない結果に不思議顔だ。12球団ダントツの64失策も影響しているのかもしれないが、西が勝てない原因と完全に結びつけるのは難しい。
古巣関係者「今季に限ったことではない」
そんな中、古巣のオリックスの関係者が気になるコメントを残した。
「我々は西の勝ち星が伸びないことに全く不思議を感じていませんよ。過去の数字を見たらわかるじゃないですか。10勝しても負け越しているシーズンだってある。勝ち切れないのは今季に限ったことではない」と評価。FAで流出してしまった事情もあり、少々辛口なのかとも思えるが、2018年までの3シーズンで計25勝31敗のデータでは文句は言えまい。
ただ、注目球団の阪神に移籍したのは西自身が選んだ道。FA選手として自ら活路を見出し、勝ちをもぎ取らなければチームの浮上もままならない。
※成績は2019年6月22日終了時点