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松坂大輔「一進一退」1軍復帰は慎重に 9日2度目登板

2019 6/8 07:00楊枝秀基
6月9日に復帰後2度目の登板をする中日・松坂ⒸYoshihiro KOIKE
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ⒸYoshihiro KOIKE

2軍戦で257日ぶり実戦登板

中日ファンならずとも、多くの野球ファンがその復帰を待ち望んでいるはずだ。2月のキャンプ中にファンとの接触で右肩を故障、そこから懸命のリハビリで5月28日のウエスタン・ソフトバンク戦(筑後)で、257日ぶりの実戦登板を果たした中日・松坂大輔。内容的には先発で2回無安打無失点3奪三振と、1軍復帰へ大きく進んだように見える。

投球スタイルは打者6人に対し、投じた20球ほぼ全てが変化球。フォーシームの直球を1度も使わず、直球系はツーシームとカットで構成。そこに曲がりの異なるスライダーなどを織り交ぜた。登板前のブルペンで右ふくらはぎをつるアクシデントもあったが、省エネ投球でしのいでみせた。投球の最速は137キロだったが、そこを問題視する関係者は誰もいなかった。

一回二死の場面で対戦した中村晃は2014年に最多安打に輝いた好打者。タイミングを狂わせて空振り三振に仕留め「そこは自信にはなりましたね」と手応えを口にした。

登板後、一夜明けた29日はナゴヤ球場で練習。「特に問題はなかったですよ」と右肩への反動もなく、次回の登板を中6日で4日のウエスタン・広島戦(由宇)に定めた。

結果出れば即1軍とはいかない

ところが、4日の実戦登板を回避。より良好なコンディションでの登板をとの説明で、9日のウエスタン・オリックス戦(ナゴヤ球場)に変更となった。遠征先のビジターでの登板より、疲れが残らないことを考慮した可能性が高い。

順調、良好な回復ぶりにみえるが、状態によって一進一退な部分も多く、単純に結果が良ければ即1軍という訳でもないようだ。松坂と同様の手術を経験したスポーツトレーナー(元NPB投手)はこう解説する。

「松坂選手が受けたとされる手術は一般的に上半身が強いメジャーリーガーに復帰例が多い手技だと思われます。日本人の体格では肩関節の負担に耐えうるための、より慎重な体づくりが大切になる。肩周りの筋力を上げる、体全体のバランスを整える、疲労を避けるなどのケアが必要。そうしないと脱臼しやすい状態になる。松坂選手は日本人投手の中では体格、骨格もしっかりしているので復帰できたのだと思います」

復帰への道はかなりの慎重さが求められるようだ。

次は4回50球メド

9日の次回登板は4イニング、50球ほどをメドとする模様。登板後の患部の反応などをみて、次回以降の方向性を決めていく。

松坂自身は1軍復帰へ向けて「もう少し状態は上げないといけない」と、さらなるコンディションの上積みが必要なことを示唆している。何より本人が不安なく右腕を振ることができるという事実が、1軍復帰へのサインとなるだろう。