野球スタイルに差は見られず
もうすぐ交流戦が始まる。2005年に始まった交流戦。2009年にセリーグが1度だけ勝ち越したが、そのほかのシーズンはすべてパ・リーグが勝ち越している。

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過去5年のセ・リーグとパ・リーグの打者と投手の総合成績をみても、目立った差がないのである。つまりデータで見る限りは、セ・パ両リーグにおいて野球スタイルに大きな差があるとは考えにくい。
セ・リーグとパ・リーグの大きな違いとして、DH制(指名打者制)がある。投打それぞれに専門職をおくことで投手は投球のみに、打者は打撃のみに集中することが出来る。
しかし、交流戦の試合は主催球団の所属するリーグの条件で行われるため、セ・パともに対戦条件は同じ。セ・リーグ球団がDHに不慣れであるといっても、ここまでパ・リーグ有利の状況が起きるのは何故なのか。
DH制がもたらす野手への恩恵
セ・パが戦う交流戦の過去5年の打撃成績をまとめると、三振でセ・リーグが上回っている以外は全てでパ・リーグが優勢、得点に至っては300点ほどの差が出ている。

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DH制を導入しているパ・リーグと導入していないセ・リーグでは、野手の出場機会に差が出ている。実際2018年シーズンのセ・リーグでは、投手が1501打席を記録している。1チームに換算すると約250打席である。この数だけパ・リーグの野手は多くの打撃経験を積むことが出来る。
例えば、日本ハム・清宮幸太郎選手は本来一塁を本職としているが、一塁には日本代表の4番中田翔選手がいる。清宮はケガから復帰後DHでの出場が続いている。もし、DH制度がなければ清宮は守備位置の変更か代打でしか試合に出られなかったかもしれない。
また、西武の森友哉選手もDHをうまく活用し休ませながらの起用が可能になっている。森がDHに入る際は、2番手捕手の岡田雅利選手がマスクを被る。岡田にしてもDHがあることで出場機会を得ることが出来ているのだ。
DH制によってパ・リーグの野手はこのような恩恵を受けているため、交流戦で優位に立っているのではないだろうか。