失点と与四球の関係
好投していた投手が突然の乱調、四球で走者を溜めた後、失点してしまう……そのようなシーンを目にしたことのあるファンも多いのではないだろうか。プロ野球では、四球から失点に結びつくケースは多い。
現在はセイバーメトリクスの普及に伴い、コンピューターを使うことで複雑な指標を弾き出すことができる。細かいデータを用いることで与四球と失点の相関関係を厳密に導き出すことも可能だろう。
だが、そうやって導き出された指標や数値は計算式が複雑であったり、一般的にはわかりにくかったりもする。今回はもっと単純に、誰でも手に入れることが出来る公式データから与四球と失点数を抽出し、与四球と失点の関係を表で表した。
西武は与四球、失点ともにワースト
今シーズンの5月17日終了時点における各球団の与四球と失点は下記の表の通り。

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セ・リーグでのリーグワーストの失点数はヤクルトの217だが、与四球の数は138とリーグ3位。与四球がもっとも少ない巨人との差も4つと、与四球が少なくても失点が多い。

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パ・リーグで最も失点が多いのは西武の215失点で、与四球もリーグ最多の167と与四球と失点の多さが比例している。しかし、与四球ワースト2位のソフトバンクの失点は153と少なく、リーグ2位。こちらは、与四球は多いが失点は抑えているパターンだ。
今シーズン、両リーグの与四球及び失点を散布図に表したものが下記となる。


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セ・リーグでは四球が増えても失点が増えてはおらす、パ・リーグでは四球の増加がやや失点に繋がっているように見える。
昨シーズンもヤクルトとソフトバンクは同傾向
昨シーズンはどうだったのだろう。
下記の表を見るとセ・リーグでは巨人がずば抜けており、与四球も失点もリーグ最少。一方で失点が最多のヤクルトは、与四球がリーグ2位。今シーズンと同様に四球は少ないものの、失点が多い。

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パ・リーグでは優勝した西武が最多失点で、与四球はワーストではなくリーグ5位。ソフトバンクがリーグ2位の失点数ながら与四球はワースト。今シーズンと同様の傾向が現れている。

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散布図に表すと下記のようになる。


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視覚でわかるように散布図を用いているが、相関係数を求めれば、どれくらいの結び付きがあるかを数値で表すこともできる。だが、野球を見る上で相関係数を用いることは、一般的ではないためここでは算出していない。もちろん、算出して相関を求めることも楽しみ方のひとつではある。
視覚的にわかるのは、ヤクルトは与四球が少ないものの失点が多いこと、そしてソフトバンクは与四球が多いものの失点は少ない、といったことである。もちろん他にもわかることはあるだろう。
このように観戦中に思いついたちょっとした疑問について、公式データを用いることで傾向を視覚的に表すことはできるのである。ぜひ様々な疑問を解き明かしてほしい。
※数字は2019年5月20日終了時点