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ロッテ・鈴木大地がファンに愛され、チームに必要とされる理由

2019 5/13 07:00浜田哲男
ロッテに欠かせない存在の鈴木大地ⒸYoshihiro KOIKE
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ⒸYoshihiro KOIKE

開幕は控えも、今や攻守で欠かせない存在

ロッテの鈴木大地が好調だ。レアードの加入により三塁の定位置を奪われ、ベンチで戦況を見守る日々が続いていたものの、現在はポジションを替えながらスタメンに名を連ね、3割近い打率をキープ。攻守において欠かせない存在となっている。

開幕から状態の上がらない井上晴哉が2軍行きとなれば一塁を守り、中村奨吾が試合前の練習中に顔面に裂傷を負った際には二塁に入った。また、出塁率はまずまずの数字を残しながらも、日本の投手の球にタイミングを合わせるのに苦労していたバルガスが2軍で調整となればDHにも入った。

二塁、遊撃、三塁と毎年のようにポジション変更を受け入れながらもコンスタントに出場してきた鈴木。今季はレアードが開幕から好調を維持していることからスタメンでの出場は厳しいと多くのロッテファンが思っていただろうが、結局は鈴木が先発に名を連ね、チームを鼓舞し、大事な局面で大きな仕事をしている。

やはり、鈴木はチームの顔であり中心的プレーヤーなのだ。毎年3割を打つような成績は残していない。特段足が速いわけでもない。ましてや得点圏打率が高いわけでもない。二塁手でゴールデングラブ賞は獲得しているが、西武の源田壮亮やソフトバンクの今宮健太のように華麗な守備が売りというわけでもない。

それでも試合ではどの選手よりも大きな歓声を浴び、チームが勝利すれば率先してチームメイトを引き連れてファンと喜びを分かち合う。鈴木は、なぜこれほどまでにファンに愛されているのだろうか。

チームが苦しい時ほど存在感を放つ

鈴木は、チームが苦しい状況であればあるほど確かな存在感を放つ。投手が苦しい場面では真っ先に声を掛けにマウンドへ行き、ベンチが沈んでいる時でも率先して声を出してチームを鼓舞する。

打撃面でも同じだ。4月9日のオリックス戦では、10回1死満塁の好機でサヨナラ打を放ち、鈴木を中心に歓喜の輪ができた。主砲の井上が不振で2軍落ちしており、鈴木は一塁で出場していた一戦。打撃で思うような結果を残せないチームメイトの代役を務め、チームを勝利に導く一打を放ったのだ。

それまで出場機会に恵まれていなかったが、腐らずに内外野でノックを受け、ベンチでも誰よりも大きな声でチームの士気を高めていた鈴木の姿をファンも知っている。

お立ち台で、鈴木は「本当の4番が帰ってきても、試合に出られるように頑張ります」と語っていた。発言の節々にチームメイトへの想いや自分を奮い立たそうという気概が感じられる。

粘り強い打撃で今季こそ3割を

鈴木といえば、打席での粘り強さも特長のひとつだ。三振しにくい打者であることを示すセイバーメトリクスの指標PA/K(打席数÷三振数, 1三振を喫するに要する打席数)は現在リーグ4位。昨季もPA/Kは10.15で堂々のリーグ2位だった。打率に目を向けると、これまでのキャリアハイは2014年に残した.287。打率3割へ向けて今季こそはという思いは強いだろう。

パ・リーグPA/KランキングⒸSPAIA

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昨季、中村奨吾や井上がフルシーズンを戦い抜き、レギュラーに定着した。しかし、チーム内で鈴木ほど毎年、試合に出場し続け、安打を積み重ねている選手は他にいない。プロ入り2年目の127安打を皮切りに、ここまで6年連続で120安打以上を放っている。ここ数年こそ減っているものの、当初は犠打数も多かった。尚且つ、一塁、二塁、三塁、遊撃を守れるのだから、チームにとってこんなに有り難い選手はいない。

4月12日、出場選手登録日数が7年に到達し、国内フリーエージェント(FA)権の取得条件を満たした。胸の内は本人にしか分からないが、鈴木のいないロッテは考えられない。

井上やバルガスの不振、中村の怪我で出場機会を得て結果を残し、成績の上でも存在感を放っている鈴木。SNSで寄せられていた「このチームはやっぱり大地のチームなんだよ」というファンの声が心に突き刺さる。今季ロッテが躍進を見せる時、その中心には鈴木大地がいるはずだ。

※数字は2019年5月9日終了時点