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オリックス、内野手に加えて強みのリリーフまでも悩みのタネに 18年の課題から見る今季開幕

2019 5/6 07:00青木スラッガー
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4月を最下位で終えたオリックス 18年の課題はどうなった

開幕から1か月が経過し、徐々に各チームの戦力が鮮明になってきた。ここまでの戦いぶりを振り返るうえで、ひとつ注目したいのが、今季のチームは2018年シーズンのチームと比較し、どれだけ進化しているのかという点。“弱点”とされていたポイントを克服できているかどうかが、そのわかりやすい指針となるだろう。

そこで「2018年シーズンに生まれた課題に対し、今季はどのような動きがあったのか」という視点から、各チームの開幕1か月を見ていきたい。今回は最下位で4月を終え、これから早いうちに巻き返しを図っていきたい状況のオリックス編。

昨季は内野手の打力で他球団に遅れ

昨季のオリックスは65勝73敗、勝率.471の4位で4年連続のBクラス。序盤は交流戦で12球団2位の勝率.647をマークするなど善戦し、前半戦終了時点で貯金をつくってソフトバンクと並ぶ3位に入っていたのだが、後半戦で急失速して優勝争いから外れた。

課題となったのはチームOPS(.673)12球団ワーストを記録した打撃だ。特にT-岡田、安達了一ら主力の不振が重なった内野手で他球団に後れを取り、そのカバーを打撃のいい捕手の伏見に頼らざるを得ない苦しいシーズンとなった。

オフには中島宏之、小谷野栄一が退団。2人は絶対的なレギュラーというわけではなかったが、戦力層は昨季からさらに薄くなっている。

2018年オリックス主な内野手打撃成績,ⒸSPAIA

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一方、投手は12球団トップのチーム防御率3.69をマークし、先発・リリーフともに安定した活躍を残している。しかし、オフに西勇輝、金子弌大が退団。柱が抜け、投手力がアドバンテージとなるかどうかは蓋を開けてみなければわからない状況で開幕を迎えた。

内野手でレギュラーに残るのは福田のみ 今季も内野手は課題か……

課題の内野手は開幕1か月でどのような状況になっているだろうか。

2019年オリックス主な内野手打撃成績,ⒸSPAIA

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開幕スタメンは一塁手・T-岡田、二塁手・福田周平、三塁手・頓宮裕真、遊撃手・安達了一。このうち、チームを代表する中堅選手である T-岡田と安達が数試合で二軍調整となり、開幕早々に新チームの計算が狂ってしまった。

新戦力を見ると、ドラフト2位ルーキーの頓宮は5番打者に入る大抜てきとなったが、打率1割台とまだプロの投球には対応できていない。新外国人のメネセスは開幕前にメキシコ代表として侍ジャパンとの親善試合で大活躍し、主砲候補として注目されていたが、こちらも打率.200と苦しんでいる。

またT-岡田、安達のほかにマレーロも開幕早々に二軍行き。期待されていた選手が力を発揮できず、主将の福田を除いて内野手のスタメンは開幕時から1か月でガラリと変わった。今季もここまでは内野手事情が厳しい状況だ。

ただ、その中で奮闘しているのは福田、大城滉二の若手二遊間コンビ。2年目で主将を務める福田は出塁率.333、6盗塁とリードオフマンとしてまずまずの数字を残している。安達に代わって遊撃手に入る大城も下位打線としては十分な打撃成績だ。また、4月終盤はルーキーの中川圭太が三塁手として頭角を現してきた。

二軍で調整する中堅選手の復活を待ちつつも、しばらくは若い力に期待して戦っていく形となりそうだ。

昨季強力だったリリーフ陣にも新たな課題

もうひとつの懸念であった先発投手はどうだろうか。

2019年オリックス主な先発投手成績,ⒸSPAIA

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金子と西が抜け、ディクソンと田嶋大樹が開幕に間に合わなかった。この4人が昨季はチーム全体の3分の1程度の投球回を担っており、先発投手は危機的状況を迎えた。だがふたを開けてみれば開幕投手の山岡泰輔がエースの自覚が芽生えたような好投を見せ、先発転向の山本由伸も月間で防御率1.45を記録。3年目の榊原翼も防御率2点台に抑え、優秀なローテーションを築くことができている。

しかし、その一方で昨季は盤石だったリリーフ陣に綻びが出た。守護神の増井浩俊をはじめ澤田圭佑、吉田一将、比嘉幹貴ら中継ぎ投手も打たれる展開が目立つ。山本がセットアッパーを務めた昨季はリーグトップの救援防御率3.43を誇ったのだが、今季は4月終了時点で救援防御率5.12。チーム一番の売りがウィークポイントに変わってしまった.

内野手という昨季の課題を持ち越した中、開幕1か月で新たな課題も浮かび上がったオリックス。西村徳文新監督はこの苦しい局面をどう打開していくだろうか。