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ヤクルト・村上宗隆、阪神・木浪聖也にかかる「世代交代」への期待

2019 5/3 11:00勝田聡
村上宗隆,木浪聖也
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ⒸSPAIA

「世代交代」

プロ野球の世界ではどのチームでも課題として「世代交代」が毎年のようにあがってくる。主力選手が充実していても永続的にプレーできるわけではなく、年齢とともにパフォーマンスは下がり衰えていく。そのため、戦力を維持するには主力選手が衰える前に若手を育成し、うまくスイッチすることが重要となってくる。

昨シーズンでいえば、巨人が阿部慎之助から岡本和真へと主軸の世代交代に成功している。

一昨年までの岡本には一軍での実績はほぼなかったが、昨年のオープン戦で結果を残し開幕スタメンの座を手に入れると、そのまま走り続けた。シーズン途中からは4番にも座り、最終的に打率3割、30本塁打、100打点を達成。オフには日本代表にも選ばれるほどの大ブレイクを果たしたのである。年齢的にも22歳と岡本はまだ若く、まさに理想的な形での世代交代だったと言えるだろう。

巨人にとっては、二岡智宏から坂本勇人へスイッチすることに成功した2008年以来の大きな世代交代でもあった。

また、一昨年には広島が4番を新井貴浩から鈴木誠也へと世代交代した。鈴木はその重圧に負けることなく結果を残し、リーグ優勝に大きく貢献していることは誰しもが認めるところだろう。

スラッガー村上宗隆にかかる期待

今シーズンも複数のチームで世代交代が図られようとしている。特に注目度が高い選手といえば、ヤクルトの将来の4番候補、村上宗隆だろう。

今シーズン高卒2年目となる村上は開幕一軍、そしてスタメン出場を勝ち取ったが、開幕直後はなかなか結果を残せないでいた。4月11日の時点で打率.150とセールスポイントである打撃面で大きく苦しんだ。

しかし4月12日にマルチ安打を放つと、そこから6試合連続安打と徐々に調子を上げていく。4月25日には4安打の固め打ちの活躍を見せるなど、4月終了時点で打率.245(94打数23安打)、6本塁打、16打点という成績は高卒2年目としては立派な数字だろう。

守備では一塁、三塁ともにまだまだ粗く、失点につながるエラーも少なくない。それにもかかわらず、スタメンで起用され続けていることから期待の大きさはよくわかる。ポジションはまだ定まっていないが、チームとして村上を育てる強い意志は感じ取れる。近い将来、山田哲人と村上宗隆の「YM砲」と呼ばれる日が訪れるかもしれない。

木浪聖也が遊撃のポジションを奪取

阪神も世代交代を進めていた遊撃のポジションがようやく埋まりそうだ。ドラフト3位の新人・木浪聖也である。

阪神の遊撃手は長きに渡り鳥谷敬が務めてきた。攻守に優れた鳥谷はチームを牽引してきたことは間違いないが、フル出場を続けていたこともあり、後進の育成は進んでいなかった。

そのため、近年は北條史也、植田海、糸原健斗らの争いが行われていたのである。しかし故障などの影響もあり、思うような結果を継続して出す選手はおらず、レギュラーを作り上げることはできていなかった。

このような状況の中、今シーズンは新人の木浪聖也が開幕スタメンに抜擢されたのである。一時的にスタメンを外れることもあったが、再びポジションを奪い返し4月20日からは固定されている。その時点で.167だった打率が、現在は.232まで上昇し徐々に対応できるようになってきた。

一方、犠打の失敗や怠慢走塁といったミスが目立つのも事実。しかし、矢野燿大監督は木浪を起用し続け、一人前に育て上げようとしている。この苦しい時期を乗り越えることで、確固たるレギュラーとなるはずだ。

また、同じ内野で三塁を守る主砲候補の大山悠輔は、木浪と同じ1994年生まれで同学年。若い三遊間コンビが虎の未来を背負っていく。

※数字は2019年4月30日終了時点