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ソフトバンク・千賀が圧倒的 チームの鍵握る開幕投手たちの成績は?<パ・リーグ>

2019 5/1 07:00勝田聡
開幕投手成績
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ⒸSPAIA

エース級が務める開幕投手

3月29日に開幕したプロ野球も1カ月が経過した。パ・リーグの順位表に目を落とすとソフトバンクが首位。楽天と西武、日本ハムがそれに続いている。しかし、最下位オリックスまでのゲーム差はわずかに「5」。どのチームにも3位以上はもちろん、優勝の目はまだまだある。ゴールデンウィークの大型連戦から交流戦までがひとつの山場となりそうだ。

そのチームのカギを握るのは先発投手たちだろう。とりわけエース級の投手達は白星を計算されており、長いイニングを投げることが求められているからだ。もし、彼らが役割を果たすことことができなければ、チームが泥沼にハマってしまうこともある。

そんなエース級が任されることの多い開幕投手。彼らはここまでどのような成績を残してきたのだろうか。今後を占う上でも振り返ってみたい。

千賀滉大が圧巻の奪三振率

首位であるソフトバンクの開幕投手は千賀滉大だった。開幕から3試合連続で好投を見せるも、味方の援護に恵まれずまさかの未勝利。しかし、4月19日の西武戦で初勝利をマークすると、翌週の日本ハム戦でも勝ち星を上げ2勝0敗、防御率1.46とさすがの成績を残している。

開幕投手成績1

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圧巻なのが、その奪三振能力の高さだ。37回を投げ54奪三振はK/9(1試合あたりに何個の三振を奪うかを表す指標)に直すと13.14となる。規定投球回に到達している投手の中で唯一の2桁で、4試合連続2桁奪三振中と勢いはとどまることを知らない。

千賀の他には上沢直之(日本ハム)、山岡泰輔(オリックス)がそれぞれ2勝をマーク。奪三振の数も投球回数とほぼ同じであり、力のある投球をみせている。しかし、上沢は4月29日の試合で5回途中6失点と試合を作ることができなかった。山岡もここ2試合連続で4失点以上と、千賀ほどのエースらしい投球はできていない。

多和田と石川は黒星先行、岸はリハビリ中

黒星先行となっているのが多和田真三郎(西武)と石川歩(ロッテ)のふたりである。多和田は4月12日のオリックス戦で完封勝利をマークしたものの、その後はいまひとつ。4月19日のソフトバンク戦では、7回途中2失点と試合は作ったが被安打10と打ち込まれていた。また、4月26日のオリックス戦でも6回途中5失点と2試合連続で試合を作ることができていない。菊池雄星(現・マリナーズ)がチームを去り、エースとしての働きを求められるだけにここからが正念場となる。

開幕投手成績1

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石川は開幕戦において6回途中4失点で降板。その後、腰痛のためにファームへと降格する。4月14日に一軍復帰し5回無失点、次の登板では6回2失点と復調したかに見えたが、4月28日の楽天戦では4回6失点(自責5)と苦しんでいる。涌井秀章、マイク・ボルシンガーとならぶ3本柱として井口資仁監督も計算していただけに、この不振はチームにとって大きな痛手だろう。

多和田、石川といったチームのエース格で勝ち星を伸ばせないと、チームは苦しくなる。幸いにもまだ西武は現時点で勝率5割、ロッテも借金はわずかに「2」と巻き返すことのできる位置にいる。上位浮上のためにも、ふたりの復調は欠かせない。

最後に、岸孝之(楽天)は開幕投手に指名されていた則本昂大が右肘を手術することで大役が回ってきた。だが、その開幕戦で5回途中に故障を発症し途中降板となる苦しいスタート。その後はファームに降格しリハビリに励んでいる。一時は一軍復帰も報じられたが、大事を取って取りやめた。今後、二軍での登板を経て一軍へ復帰する見込みとなっている。

楽天は岸だけでなく則本も離脱中と台所事情は苦しい。そんな中、チームは4月を2位で終えた。2013年以来の優勝を勝ち取るためにも岸、そして則本の力は必要不可欠。チームメート、そしてファンも早期復帰を待ち望んでいる。

このようにパ・リーグの開幕投手たちは千賀が圧倒的な成績を残しているものの、勝ち星的に見ると大きな差はついていない。これから先、彼らの投球ひとつで順位は大きく変動する。エースたる投球を見せるのはだれか。開幕投手の1年に注目だ。

※数字は2019年4月29日終了時点