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ソフトB・高橋礼、大竹、甲斐野らが台頭 今季一気に進む?投手陣の世代交代

2019 4/28 11:00勝田聡
高橋礼,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

故障者が続出ながら上位スタート

3年連続日本一を狙うソフトバンクは開幕前から故障者が続出しており、いまだベストメンバーで戦うことが叶っていない。野手では柳田悠岐、投手ではデニス・サファテや石川柊太といった主力が不在のなか、チームは2位。日替わりで若手選手たちがヒーローになっており、選手層の厚さでカバーしている。

主力の故障や不振による離脱が大きな痛手となることは間違いない。しかしその反面、若手にとっては大きなチャンスでもある。この機会に結果を残すことができれば、レギュラーへ定着することも十分にあり、モチベーションも上がるはずだ。

現在、投手陣の顔ぶれが変わりつつあるソフトバンク先発陣の勝ち頭は、大卒2年目となる高橋礼だ。昨シーズン中に既にデビューを果たしていたが、勝ち星をあげることはできなかった。しかし、オフには日本代表にも選ばれており、そのポテンシャルの高さは認められていた。

今シーズンは開幕ローテーションに入ると無傷の4連勝をマーク。4月22日に登録を抹消されたが、これは疲労を考慮してのこと。1年を戦う上で前向きな抹消だと言え、工藤公康監督が高橋礼のことを買っているということの裏返しでもある。

また、勝ち星こそないが、同じく大卒2年目の大竹耕太郎も4試合で30.1回を投げ、防御率0.89と安定した投球を見せている。

昨シーズンは年間を通してローテーションに入っていなかった2人が、これだけの活躍を見せている。もちろん、主力である千賀滉大や武田翔太も健在。中田賢一や故障からの復活を目指す和田毅といったベテランの力を借りずとも、チームは十分に戦えている。

ドラフト1位の甲斐野央が勝ちパターン入り

中継ぎ投手陣でも若手の活躍が目立っている。

ドラフト1位の甲斐野央は開幕戦で初勝利をマークすると、すぐに勝ちパターンへ定着。11試合に登板し、1勝9ホールドとチームに大きく貢献している。10.2回を投げ、17奪三振とK/9(1試合にどれだけ三振を奪うかを表す指標)は圧巻の14.34でチームトップ。リーグ内の中継ぎ投手(投球回数6回以上)を見渡してみても、甲斐野を上回るのは15.60の松井裕樹(楽天)、15.00の増井浩俊(オリックス)と球界を代表する2投手のみで、甲斐野の奪三振能力の高さが伝わる。

また、ドラフト6位の泉圭輔も4月22日のオリックス戦で初勝利をマークした。ここまで4試合の登板で4.2回を投げ、無失点投球を続けている。何より、与四球1というのが素晴らしい。四球から崩れないのは中継ぎとしても非常に大事な要素。甲斐野のように、勝ちパターンへの昇格を目指したいところだ。

育成から支配下へ復帰した川原弘之も頑張っている。9.1回を投げ、与四球7と制球に苦しみながらも防御率は0.00。150キロを超えるストレートを投げることのできる左腕は貴重な存在で、安定感がないことは否めないが、開幕から二軍へ降格していないことからも、首脳陣からの期待の大きさがうかがえる。

昨年までチームを支えていた五十嵐亮太や寺原隼人(ともにヤクルト)といったベテラン勢が、チームを去ってしまったソフトバンク。サファテや岩嵜といった実績者も故障で離脱中だが、それを補う若い力がしっかりと一軍で結果を出している。

38歳のサファテはともかく、29歳の若い岩嵜にとって「世代交代」は少し早いのかもしれない。だが、決して長いとはいえない中継ぎ投手の寿命。故障の状況によっては、甲斐野にこのままセットアッパーの役割が引き継がれてもおかしくないだろう。

とはいえ、岩嵜もこのまま黙って引き下がることはないはず。治療に専念し、再び一軍でセットアッパーの座を奪い返せるほど、万全な状態でマウンドに戻ってきて欲しい。

チーム内での争いがソフトバンクの強さの秘密かもしれない。

※数字は2019年4月25日終了時点