「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

福留孝介、青木宣親、松田宣浩…チームを引っ張るベテランたち

2019 4/26 11:00勝田聡
青木宣親,ⒸSPAIA
このエントリーをはてなブックマークに追加

ⒸSPAIA

福留孝介が反撃ののろし

ベテラン選手は次代の中堅や若手選手の後ろから見守り、時に支えとなる存在となることが多い。しかし、中には自らがチームを引っ張る姿を見せ、若手を発奮させる選手もいる。

その一人が福留孝介(阪神)だ。

矢野燿大新監督体制で最下位からの脱出を目指している阪神だが、開幕から苦戦を強いられている。

開幕カードのヤクルト戦は2勝1敗と勝ち越し、スタートを決め勢いに乗るかと思われた。しかし、続く巨人に3連敗と借金生活に突入してしまう。その後も勝率5割に一度は戻したが、そこから4連敗と浮上できるきっかけをつかめずにいる。

そんな中、4月23日のDeNA対阪神の一戦で福留が、ドラフト1位ルーキーである上茶谷大河から特大の本塁打を放った。

打った瞬間に本塁打を確信したかのような福留の仕草が示すように、数秒後にボールはバックスクリーンへと吸い込まれていった。自身14試合ぶりの一発でチームを勝利に導いたのである。

この試合が終わった段階でも、依然として最下位ではある。しかし、新人の近本光司、若き4番の大山悠輔といった次の世代を担う選手たちへ向け、戦う姿勢を改めて見せたことは大きい。ここから阪神が勢いに乗るのではないか、と思わせる一発だった。

チームを変えた青木宣親

福留と同じようにパフォーマンスでチームを引っ張っているのが青木宣親(ヤクルト)だ。

昨シーズン、メジャーから復帰すると打率は3割を超え、攻撃的な2番打者としてチームを牽引。さらには闘志を剥き出しにするプレーでチームを鼓舞した。2017年の96敗から2位へ躍進した要因のひとつに青木の加入があったことは間違いないだろう。

今年の1月に37歳を迎えたが、その勢いは衰えることを知らない。今シーズンも開幕戦で5打数4安打と絶好のスタート。徐々に打率は落ち着きつつあるが、それでも3割を超える。内・外野の違いはあれど、早稲田大学で同期だった鳥谷敬(阪神)がすでにベンチを温めることが多くなったことと比較してもその凄さはよく分かる。

試合開始30分を切ると、外野でダッシュを始める姿は昨年から変わらない。3月に引退したイチローもルーティーンを変えず、試合に臨んでいたことはよく知られている。青木も青木なりのルーティーンを意識していることが、結果を出し続ける秘訣なのかもしれない。

ここぞで本領発揮の松田宣浩と内川聖一

パ・リーグでは35歳の松田宣浩、そして36歳の内川聖一が際立つ。

ソフトバンクは柳田悠岐、中村晃、リック・バンデンハーク、岩嵜翔、デニス・サファテら主力選手が軒並み離脱しており、苦しい状況である。そのなかで、ドラフト6位ルーキーの泉圭輔、高卒3年目の三森大貴、昨シーズン途中に広島からトレードでやってきた美間優槻と若手選手たちが日替わりで結果を残している。

若手が急成長し、存在感を示しているのはチームが世代交代を図る上でも重要なこと。しかし、その勢いだけで勝ち進めるほどプロ野球の世界は甘くない。ここぞの場面ではベテランの力が頼みになることもある。

4月22日に行われたオリックス戦がまさにそうだった。投手戦となったこの試合。1対2と1点ビハインドの6回裏、同点打を放ったのは松田宣だった。さらには7回裏に勝ち越しの一発を放ったのは内川である。

優勝争いはもちろん、優勝経験が豊富な2人の存在は若手にとってこの上なく大きいはず。若手とベテランがかみ合っているからこそ、故障者が続出しながらも上位争いをしているのである。

若手を育てるベテランの姿

ベテランがスタメンで結果を残し、チームを引っ張っていくことは多くある。もちろん、それだけが全てではない。昨シーズン限りで引退した新井貴浩(広島)のように多くの試合でスタメンを外れながらも、ベンチからチームをまとめていた例もある。

正解は1つではない。選手、そしてチームの状況でその形は変わるだろう。間違いないのは、ベテランたちが自分の役割を果たしチームを優勝に導いていく姿が、若手選手たちの糧となり精神的支柱となっていくということだ。

※数字は2019年4月25日終了時点