チームが苦戦する中で好調を維持する森
菊池雄星、浅村栄斗ら昨季の主力選手が抜け、厳しい船出となることは予想されていたが、開幕3連敗を喫するなどスタートから苦戦が続く埼玉西武ライオンズ。
そんな中、打線を引っ張るのが森友哉だ。昨年はジャイアンツに移籍した炭谷銀仁朗と併用での起用となっていたが、その炭谷が抜け、今シーズンは20試合中19試合に出場し、正捕手としてチームを牽引している。
開幕から打撃好調の森に対して、世間からは早くも首位打者を期待する声が上がるほどだ。
今回はそんな森のここまでの好調の要因を探っていく。
2ストライクからの強さ
今季、森の打撃において変化したポイントの1つが2ストライクからの粘り強さだ。
昨年の森は、追い込まれてからの打率が.190(248打数47安打)であった。対して今季の2ストライク後の成績は、.333(42打数14安打)となっている。特にカウント2-2では17打数7安打と4割を超えている。
一方で、ノーストライクでの安打は2本だけとなっており、初球を豪快に振り抜いて結果を出す昨年のスタイルは現在のところ鳴りを潜めている。
今年のライオンズの打線の並びをみると、下位打線にも中村剛也や栗山巧など強打者がそろっており、つなげる意識で打席に立っていると考えられる。
逆方向とセンターへの打率向上
さらに、森の意識の変化が推測できるのが打球方向である。
ⒸSPAIA
引っ張りの打撃成績が良いことは一目瞭然だが、注目してほしいのがセンター、逆方向への打撃結果である。
逆方向への打率が、昨年は.158だったのが、今年は.222と向上している。センター方向も.304で3割を上回っており、レフト、センター方向を合計すると、昨年が.193(353打数68安打)今年が.260となっている。
得意の引っ張りも絶好調で、継続できれば周囲の期待通り初の首位打者獲得も夢ではないだろう。
対左投手の成績にも変化
対左投手の成績にも大きな変化が見られる。
ⒸSPAIA
左打者は左投手を苦手にする場合が多いが、ここまでの森の成績は左投手を得意としている。特に長打率は対左投手の方が.163も上回っているのだ。
ちなみに昨年の打撃成績を見ると対右が.286(385打数110安打)対左が.227(88打数20安打)で、右投手に対しての成績が上回っており、長打率も対右が.488、対左だと.318で今季とは真逆の傾向を示していた。
対右打者の数字を落とすことなく、左打者にとっての鬼門である左投手を攻略できていることが、高い打率につながっている。
好調維持で打線をつなぐ
炭谷が抜け、浅村が抜け、菊池が抜けた今シーズン。連覇を狙うライオンズにとって、森の活躍は絶対に欠かせない。
チームは厳しい船出となった。しかし、森が好調を維持し続ければ、上から下までずらりと好打者が並ぶニュー山賊打線は途切れない。名実ともに正捕手として、攻守でチームを支えていく。
※成績は4月23日終了時点