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ロッテ・種市篤暉、快速球と魔球フォークで今季のブレイクを期待

2019 4/23 07:00浜田哲男
ピッチャー,ⒸShutterstock.com
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千賀滉大に似た投球スタイル

今季、ブレイクを期待したい投手の一人がロッテの種市篤暉だ。昨季1軍デビューを果たしたばかりの20歳。最大の武器は、150km超の直球と落差のあるフォークだ。

昨季8月12日のオリックス戦でプロ入り初先発のマウンドに上がると、6回2失点と好投。味方の援護に恵まれずプロ入り初勝利とはならなかったが、確かな存在感を示した。しかし、初登板を含む計7度の先発機会を生かすことができずに未勝利。プロ入り初勝利は今季へ持ち越しとなった。

球種は直球、フォーク、スライダーと少ないが、伸びのある直球は威力抜群。さらに、フォークの軌道はソフトバンクの千賀滉大を彷彿とさせる。自身が武器とする球種が同じことからシーズン前には千賀に弟子入りし、千賀が参加しているトレーニングキャンプに同行。日本を代表する右腕から様々なことを学んで刺激を受けた。

2018年の成績

ⒸSPAIA

今季はリリーフで好投

今季、ここまで7試合に登板している種市。すべてリリーフでの登板となっているが、計12回を投げて1失点11奪三振、防御率0.75と安定した投球を披露。今季初登板となった3月30日の楽天戦で1失点を喫したものの、4月5日のソフトバンク戦では3回無失点、4月9日のオリックス戦では2回無失点と好投。チームの勝利に貢献した。

また、今季は最速153kmをマーク。勢いのある直球と落差のあるフォークを中心とした組み立てで、打者をねじ伏せるシーンもよく見られるようになった。内外角の使い分けや緩急を覚えれば、投球の幅がより一層広がるはず。まずは、どういう形でもプロ入り初勝利を挙げたいところだろう。

2019年の成績

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今こそ先発で起用すべき

今季はまだ一度も先発の機会がないが、昨季得た7度の先発経験を生かすのであれば、種市は先発として起用すべきだ。現状、先発は石川歩、ボルシンガー、涌井秀章、二木康太、岩下大輝と5枚揃っているが、あと1枚足りない。

即戦力左腕として開幕ローテ入りを果たした助っ人のブランドンとルーキーの小島和哉は、初登板でともに打ち込まれるなど指揮官からの信頼を得られるまでには程遠い。

また、ここにきて不安定な先発陣と裏腹に安定感を増してきたリリーフ陣。先発が6回まで投げきれば、7回を酒居知史、8回を唐川侑己、9回を益田直也につなぎ、勝利の方程式が完成する。こうしたチーム事情の観点からも、種市の先発を試すべきタイミングが来たといえる。

今季でのブレイクを期待

昨年、コロンビアで開催された第2回WBSC U-23ワールドカップに侍ジャパンU-23代表メンバーとして出場した種市。オープニングラウンド第2戦のチャイニーズ・タイペイ戦で先発すると、7回無失点10奪三振の快投。同僚の安田尚憲、成田翔らとともに日本の準優勝に大きく貢献した。

初めて対戦する海外のパワーヒッター達に臆することなく立ち向かった投球には、未来のエースともいえる風格が漂っていた。昨季得た先発での苦い経験、そして国際舞台での成功体験は今季の投球に必ず生きてくる。あの千賀に「エグい」と言わせた快速球は、まだまだ進化の過程だ。

打者でいえば平沢大河、安田、藤原恭大がロッテの未来。そして、次世代を担う投手は種市、岩下、成田といったところだ。まずは、先発ローテーション入り、次に先発でのプロ入り初勝利、そしてロッテのエースへ。

はかり知れないポテンシャルを持った種市が今季ブレイクすることを、多くのロッテファンが期待してやまない。

※数字は2019年4月21日終了時点