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「先発課題」のオリックスが好スタート!ローテ3巡目時点のチーム先発成績

2019 4/22 15:11青木スラッガー
野球ボール,ⒸSPAIA
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オリックスとソフトバンクが抜群の先発ローテ

開幕から3週間が経過し、徐々に各チームの戦力が明らかになってきた。これからシーズンが進む中で、安定した戦いをしていくために鍵となるのが先発ローテーションだ。ここを早く整備できたチームは、今後の戦いを有利に進めていくことができるだろう。そこで、ローテーションが3巡した時点(4月18日終了時点)での各チームのローテ充実度を振り返りたい。今回はパ・リーグ編。

パ・リーグ,先発投手成績

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パで最も先発防御率が優秀だったのはオリックス。リーグで唯一2点台に収まり(2.96)、平均投球回(6.08)もリーグ2位。昨季終了から西勇輝、金子弌大と近年のチームを支えた両右腕が退団し、先発ローテ構築が大きな課題と見られていた中で、先発投手たちは予想外ともいえる成績を残している。

オリックス,先発投手成績

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開幕投手の山岡泰輔が3試合で防御率1.23と「新エース」定着を予感させる投球を見せているが、その山岡を超える投球を見せているのが3年目の山本由伸だ。昨季はセットアッパーとして大活躍したが、先発転向も難なくこなしつつある。ほかにも昨季の勝ち頭アルバースに加え、3年目の榊原翼もプロ初勝利を挙げるなど好投している。

先発防御率(3.04)でオリックスに次ぐのはソフトバンクだ。平均投球回6.26はオリックスを上回り12球団トップ。QS達成率67%も12球団トップで、総合的にはオリックス以上の数字といえる。日本シリーズ連覇を達成した昨季は規定投球回到達者ゼロと、そこまで先発が圧倒的だったわけではなかったが、今季はここまで先発の好投が光っている。

ソフトバンク,先発投手成績

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千賀滉大、大竹耕太郎、高橋礼が3試合ですべてQSを達成し、防御率も抜群。特に高橋はプロ初勝利から無傷の3連勝を飾り、防御率0.90を記録するなど開幕前の期待をはるかに超える好投ぶりだ。ただ、現時点の懸念は東浜巨、ミランダの不調。彼らが復調してくればさらに圧倒的なローテが出来上がる。

楽天はWエース欠くが健闘、日本ハムも安定感のある先発陣

604日ぶりの単独首位に立つなど好調な楽天は、リーグ4位の先発防御率3.61を記録しており、数字上はまずまずの滑り出しとなっている。則本昂大が開幕に間に合わず、岸孝之も1登板で離脱。ダブルエースを同時に欠くこの状況では大健闘と言ってもいいかもしれない。

楽天,先発投手成績

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特に奮闘しているのが美馬学。3試合で防御率2.84を残し、2勝に終わった昨季から復活の兆しを見せている。昨季結果を残せなかった辛島航、安樂智大も好調で、トレード加入の福井優也がしっかり試合を作っているのも大きい。ただ、藤平尚真、近藤弘樹のドラ1右腕コンビらはまだ良い投球ができず、ダブルエースが戻ってくるまでローテの5、6番手には課題がある。

日本ハムは単純な成績から評価することが難しいかもしれない。あらかじめ3回程度しか投げない想定で先発投手がマウンドに上がり、複数投手を使って中盤まで凌ぐ「ショートスターター」を栗山英樹監督が用いている。加藤貴之、斎藤佑樹らが務めたが、早い回での降板が多い中でも平均投球回は5.17。QS達成率も44%と悪くない数字だ。先発防御率は2点台に迫る3.10をマークし、優秀な先発ローテを誇っている。

日本ハム,先発投手成績

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活躍が光るのは有原航平。昨季は防御率4.55とやや苦しんだが、3試合で防御率0.41と圧巻の投球を続ける。開幕投手の上沢直之も好調で、ロドリゲスは勝ち星こそないものの試合は作れている。新加入の金子弌大も先発時には好投した。彼らに次ぐ5、6番手を「ショートスターター」で凌ぐというのが今季の日本ハムだが、今後この戦術を継続していくのか注目していきたいところだ。

西武とロッテはローテに不安、先発防御率は5点台に

西武は昨季に引き続き、苦しい投手事情となっている。先発防御率は5.28を記録し、チーム得点はトップだがなかなか波に乗り切れない。ただ、平均投球回5.85はまずまずの数字で、失点を重ねながらも、先発投手がしっかりとイニングを稼いで味方の反撃を呼ぶ戦い方は昨季と変わらないようだ。

西武,先発投手成績

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開幕投手の多和田真三郎は3試合目で完封勝利を挙げるなど徐々に調子を上げてきた。昨季3登板に終わった髙橋光成も今季は開幕ローテに入って好投しているが、そこに続く3番手以降が不安定という状況だ。注目の新外国人ニールは3試合とも5回まで投げてはいるが、防御率6.19と失点がかさむ。期待されている今井達也は2試合で打ち込まれ、今後の巻き返しに期待となる。

最後に、突出して厳しい数字になってしまったのはロッテだ。先発防御率はリーグワーストの5.56を記録し、平均投球回(4.76)も12球団で唯一5回を割った。QS数4回、達成率24%も低い。今季のロッテは打線が好調だが、なかなか先発が試合を作れず下位にとどまってしまっている。

ロッテ,先発投手成績

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やはり痛いのは昨季13勝を挙げたボルシンガーの不調。開幕投手の石川歩も故障離脱となってしまい、本来のロッテ先発陣の出来ではない。ルーキー小島和哉、ブランドンといった新戦力がいまのところは結果を残せず、人数が足りてないという状況だ。彼らの奮起はもちろんだが、涌井秀章、二木康太、岩下大輝ら試合を作っている投手たちには、先発陣に勢いをつけるような好投を見せていってもらいたい。