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松井裕、谷元、五十嵐らが好投 チームを救う「復活のリリーフエース」

2019 4/22 07:00青木スラッガー
五十嵐亮太,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

復活の兆しを見せる“リリーフエース”

日本ハムの宮西尚生が、プロ野球史上初の通算300ホールドを達成した。過去に200ホールド以上を達成したのは、昨季引退した山口鉄也と浅尾拓也のみ。これにより、宮西が持つ記録の突出度が良くわかる。

山口と浅尾もそうだったが、“リリーフエース”と呼ばれるクラスの好投手はハードな役割からか、短命に終わってしまうことも少なくない。一度故障してしまうと、年齢にかかわらず元の力を取り戻すことが難しく、突然成績も下降し始める。

昨季も多くのリリーフエース格が突然の不振に陥ったのだが、今年のプロ野球は少し事情が違うようだ。両リーグで、復活の兆しを見せているケースが目立っている。

パ・リーグでは松井裕樹、増田達至、秋吉亮が好投

圧巻の投球を披露しているのは、楽天の若き守護神・松井裕樹だ。昨季は、6月までに5敗を喫するなど序盤戦で苦しみ、守護神に定着してから3年間続いていた30セーブ以上が途切れ、わずか5セーブに終わった。絶対的守護神の不振が、低迷ぎみだったチーム事情に直結した。

ところが、今季は開幕からクローザーとして躍動し、チーム好調の原動力となっている。4月18日終了時点で、リーグトップの6セーブ、11登板で防御率0.75。12投球回で奪った三振は21個と、驚異的な成績を残している。

突然不振に陥ったパの守護神といえば、西武・増田達至もそうだ。2016、2017年に続けて28セーブを挙げ、不動の守護神という立場で開幕を迎えたが、2018年は41登板で防御率5.17と、プロ入り以来の不振に陥りブルペンに誤算を生じさせた。

しかし、今季は6登板の時点で失点はソロ本塁打による1点のみと、上々のスタートを切った。マーティンが打ち込まれ、ヒースも一軍にいないという苦しいブルペン事情のなか、かつての守護神がチームを救おうとしている。

もう一人パのリリーフで注目したいのは、オフのトレードでヤクルトから日本ハムに移籍した秋吉亮だ。2017年のWBCでは侍ジャパンのセットアッパーも務めた右腕。だが、こちらも昨季は35登板で防御率4.23と、不振に陥った。

今季は現時点、7登板で失点ゼロ。無死満塁のピンチでマウンドに上がり、1点も許さず打者2人を片付ける(2日楽天戦)など、好リリーフを続けている。すでにクローザーとして起用され、2年ぶりのセーブもマーク。新天地でさすがの存在感を見せている。

昨季8登板の谷元圭介が好スタート ヤクルト復帰の五十嵐亮太も躍動

セ・リーグでも“復活のリリーフエース”がチームの好調を支えている。

3年ぶりの貯金を手にした中日は、谷元圭介の好投が見逃せない。昨季終了までで通算108ホールドを記録し、ほぼリリーフ1本で10年プレーしてきたベテラン右腕。2016年に28ホールドを上げ日本一に貢献するなど、日本ハム時代は左の宮西と対をなす右のセットアッパーとして活躍した。

しかし、2017年途中からの中日トレード移籍後は本来の投球を見せられず、昨季は8登板で防御率14.90の不振。二軍でも37登板で防御率4.67に終わり、どん底を味わった。そして加入3年目の今季、8登板時点で自責点は未だゼロ。6回、7回あたりでピンチを背負った先発投手からマウンドを託され、ベテランらしい落ち着いたマウンドさばきでピンチを切り抜けるシーンが目立っている。

40歳を迎えるシーズンにして復活の兆しを見せているのは、10年ぶりにヤクルトに復帰した五十嵐亮太だ。昨季、ソフトバンクでは故障の影響もあり23登板で防御率4.50という成績に終わった。今季は7登板時点で無失点投球を続けている。

まだ始まったばかの今シーズン、登板数がかさんでいくなか、かつてのリリーフエースたちはどこまで好投を続けられるのだろう。昨季のヤクルトブルペンはリリーフの枚数が足らず、石山泰稚、近藤一樹への負担が集中した。今季は、リリーフエース復活が課題の解消に一役買うこととなりそうだ。優勝争いが佳境を迎える夏場には、“完全復活”と呼べるような状況になっていてほしい。