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丸の穴が投手含めた守備にも影響? 広島カープ不振の理由を他球団007が分析

2019 4/18 07:00楊枝秀基
野間,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

16試合で19失策、チーム打率もリーグ最低

広島カープがおかしい。ペナントレースが始まったばかりとはいえ、昨年までの姿と違いすぎる。カープファンならずとも、意外に感じている野球ファンが多いだろう。

同一リーグ5チームとの戦いを終え、球団史上初の5カード連続負け越し。4月16日時点で4勝12敗と大不振だ。特に大量失点で落とすゲームが目立ち、チーム防御率はリーグワースト2位の4.37。それ以上に目立つのは、わずか16試合を消化した時点で19にも上るチーム失策数だ。これは昨季の年間失策数83の約23%にあたる。それに加えてチーム打率がリーグワーストの.207とあっては、現在の順位は当然と言えるかもしれない。

ただ、昨年まで3連覇したことは紛れもない事実。セ・リーグ数球団のスコアラーを取材すると、口をついて出てきたのは「まだシーズン序盤ですよ。ここで判断するのは無茶ですよ」という言葉だった。確かにこの時点でチームの実力を判断してしまうのは時期尚早だが、それでもあえて昨年と比べてカープの不安な部分はどこなのかを各球団007に問うたところ、様々な答えが返ってきた。

得点力低下で大胆に攻められない投手陣

あるスコアラーはこう分析する。

「まず、当たり前のことですが、丸がFAで巨人に移籍したのは攻撃面では大きいですよね。代わりに加入した長野が同等の活躍をしているかと言えばそうではないので、攻撃力はダウンしたように感じるでしょう。昨年は規定打席に到達した打者の中で丸、鈴木誠也、松山と3人の3割打者がいました。バッテリーの立場からすると、その3人に分散させていた注意力を丸以外の2人に集中できるということになる。引退したベテランの新井が抜けたのも実は大きいんですよ。思ったように点を取ってもらえないと、投手も大胆な攻めができず窮屈な投球になりがちなんです」

別のスコアラーはこうだ。

「3年も連続して同じチームに優勝させている。しかも、ここというときに痛打を浴びている印象が強いですよね。そりゃ、想定以上の補強や成長があれば別ですが、絶対に打たせたくない、負けたくないという思いをどのチームも持っていると思いますよ」

V3を果たした広島は昨季、12球団最多の41回(82勝中)もの逆転勝利を収めてきた。他球団からすれば、その悔しさを晴らしたい気持ちがあるのは当然だろう。

打ち負けて守備陣にも重圧?

さらに、別の007は「打力のあるチーム同士での対戦になると苦労するかもしれないですね。投手力はもともと圧倒的とは言えない(昨季はリーグ3位の防御率4.12)。打ち合いになり、打ち負けて終盤にリードを許し、雑になってしまうか、守備陣に重圧がかかってミスが重なるパターン。丸が抜けたカープ打線に打ち負けない巨人、ヤクルト、DeNAには苦戦してもおかしくはないですね」と指摘。基本に立ち返り、投手力と守備力の整備の重要性を説いていた。

確かにここまでのカープ投手陣は5失点以上の試合が16試合中9試合。ある程度の失点なら攻撃力でカバーできた昨季までの野球から、より慎重な野球に転換する必要があるのかもしれない。

丸に代わって3番中堅に入る野間は打率3割をキープするものの、ジョンソン、岡田ら先発陣の乱調は気になるところ。過去、開幕から4カード連続で負け越したチームの優勝はないが、王者の巻き返しはなるだろうか。