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日本ハム・秋吉が復活、ヤクルト・太田は1番抜擢 トレード移籍組が新天地で躍動

2019 4/20 07:00青木スラッガー
秋吉亮,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

日本ハムへトレード移籍の秋吉が圧巻のリリーフ

4月も後半に差しかかり、各チームで注目されていた新戦力の立場も少しずつ定まりつつある。今回はトレードによって移籍した選手の活躍に目を向けてみたい。2018年シーズン終了から今季開幕までにかけて成立したトレードは以下の3件。

<ヤクルト・日本ハム 2対2交換トレード>
秋吉亮(投手)ヤクルト→日本ハム
谷内亮太(内野手)ヤクルト→日本ハム
高梨裕稔(投手)日本ハム→ヤクルト
太田賢吾(内野手)日本ハム→ヤクルト

<広島・楽天 1対1交換トレード>
福井優也(投手)広島→楽天
菊池保則(投手 楽天→広島

<巨人・楽天 金銭トレード>
橋本到(外野手)巨人→楽天

この中で一番のビッグネームは秋吉だろう。ヤクルトでは、新人年から3年続けて60登板以上を果たすなど、ブルペンの柱として活躍。2017年にはWBC代表に選出され、侍ジャパンのセットアッパーも務めた右腕だ。しかし、プロ入り以来ハードに投げ続けてきた疲労からか、昨季は35登板で防御率4.23と不振。勝ちパターンの立場を外れ、不本意なシーズンを送った。

日本ハムへ移籍した今季は、開幕直後から復活の兆しを見せる。3月30日オリックス戦の初登板で移籍後初ホールドを挙げると、6試合に登板した時点で無失点どころか、ヒットを1本も許していない。4月2日の楽天戦では7回に無死満塁から救援登板し、その回を無失点で切り抜ける完璧な火消し。圧巻の投球でファンの心をがっちり掴んだ。

今季5登板目では9回のマウンドに上がり、2年ぶりのセーブを挙げるなど首脳陣の信頼も厚い。勝ちパターン継投の一角として欠かせない存在であるとともに、日本ハムが近年固定できていないクローザー候補のひとりになりそうだ。

ヤクルト・太田がトップバッター抜擢

秋吉とともに日本ハムへ移籍した谷内も、新天地に移って立場は前進したといえる。ヤクルト6年目の昨季は開幕を二軍で迎え、初昇格は5月下旬。その後も一軍と二軍を行ったり来たりというシーズンを送り、一軍出場は36試合にとどまった。しかし今季は開幕一軍を勝ち取ると、すでに二塁手として2試合にスタメン出場。レギュラー不在のポジションを狙える立場にある。

秋吉・谷内との交換でヤクルトに移籍した2人はどうだろうか。2016年に10勝を挙げて新人王に輝いた高梨は開幕ローテ入りし、開幕3戦目阪神戦の移籍後初先発で6回7奪三振1失点の好投。さっそく移籍後初勝利を挙げた。新人王の翌年以来成績を落とし、昨季は5勝にとどまったが、新天地で幸先の良いスタートを切った。

開幕直後にして絶好のチャンスを迎えているのは太田だ。日本ハムでの昨季は54試合で41打席と、一軍では途中出場がほとんど。しかし今季は坂口智隆が離脱したことからさっそくスタメンに抜擢される。4月9日広島戦で1番・三塁手として出場すると、その試合で猛打賞を記録するなど大活躍。2番から青木宣親、山田哲人、バレンティンと並ぶ球界屈指の強力打線の中で、トップバッターの座に定着しつつある。

楽天・福井は今季2登板目で2年ぶりの勝ち星

ヤクルト・日本ハム間でトレード移籍した4人はそれぞれが立場を好転させているが、そのほかの3人も状況は良い。

福井と菊池は先発とリリーフのトレード。両投手ともに、ここ数年はなかなか一軍で登板機会を得られず、昨季は先発の福井が2登板、リリーフの菊池が3登板にとどまった。

楽天へ移った福井は開幕ローテ入りを果たすと、1登板目で5回無失点の好投。2登板目は西武の強力打線を6回2失点に抑えて、2年ぶりの勝ち星を掴んだ。広島に移った菊池も開幕一軍入りし、5試合にリリーフ登板して戦力となっている。

同じく楽天へ移籍したのが橋本到。巨人にいた昨季は一軍出場なしに終わったが、今季は開幕一軍入りを勝ち取り、6日オリックス戦では右翼手としてスタメン出場を果たしている。楽天は、オコエ瑠偉や辰己涼介といった主な右翼手候補が決定的な成績を残せておらず、レギュラーの座はまだ埋まっていない。今後のアピール次第では橋本がレギュラーを獲得するチャンスは十分にありそうだ。

本人の意向に関係なく、突然移籍を言い渡されるトレード。昨オフに移籍した選手全員が、トレード前の球団では生え抜きプレーヤーだった。応援してきたファンに戸惑いはあったはずだが、選手たちは移籍先で元気な姿を見せている。このまま活躍を続け、新天地での立場を確立していってほしいところだ。