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ロッテ・井口監督の次なる一手は? 先発陣の不調でローテ編成に試行錯誤

2019 4/11 07:00勝田聡
井口資仁,ⒸYoshihiro KOIKE
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ⒸYoshihiro KOIKE

開幕ローテーションから4人が離脱も

ブランドン・レアードの加入もあり、打線が好調なロッテはこれまでの10試合で20本塁打を記録。開幕から8試合連続本塁打は、球団タイ記録でもあった。シーズン換算すると286本ペースである。もちろんこのまま143試合を戦い抜けるわけではないが、昨シーズン78本塁打と12球団で最少だったチームとは思えないほどの本塁打攻勢を見せている。

一方で気がかりなのが先発投手陣だ。開幕投手の石川歩と昨シーズン13勝(2敗)をマークしたマイク・ボルシンガーが怪我のため離脱し、開幕ローテーションに入った小島和哉と有吉優樹も登録抹消されている。10試合も消化しないうちに、開幕ローテーション投手6人中4人が入れ替えとなり、残るは涌井秀章とブランドン・マンの2人だけという緊急事態だ。

このような状況の中、ボルシンガーの代役として上がってきた二木康太が6回2失点の好投でQSを達成。先発として今シーズン、初めての勝利投手となった。空いた4つのローテーション枠のうち、1つは埋めてくれそうだ。

また、抹消されていた石川とボルシンガーも今週末の日本ハム戦での復帰が濃厚となり、井口監督も一安心といったところだろう。だが、二木以外はここまでピリッとしない投球が続いているだけに、予断を許さない状況は続く。前述した投手以外に、ローテーションに食い込めそうな投手は控えているのだろうか。

二軍では土肥星也が好調をキープ

二軍では開幕から4連勝と土肥星也が勢いに乗っており、25回2/3で失点4、防御率1.40と上々の成績を残している。与えた四球もわずかに2つ、BB/9(1試合あたりいくつの四球を出すかを表す指標)は0.70と、二軍ではあるが抜群の数字だ。一軍でBB/9が5.08、二軍でも3.34だった昨シーズンと比べても、大幅に改善していることがわかる。いつ一軍に抜擢されてもおかしくない状態である。

土肥とともに二軍で4試合に先発しているのが関谷亮太だ。ここまでは1勝3敗、16回を投げ、防御率6.75と結果を残すには至っていない。現時点での抜擢とはいかなそうだ。

また、岩下大輝が2試合で11回を投げ防御率1.64と結果を残しているが、すでに昇格済み。その他に二軍で先発起用され、投球回数が10回を超えている投手はいないため、抜擢されるとなれば、土肥が一番手となりそうだ。

唐川や酒居といった先発経験者の配置転換も

一方で配置転換という策もある。一軍にいる中継ぎ陣を見渡すと、唐川侑己ら先発経験のある選手も複数いる。

唐川は昨シーズン途中から中継ぎとして起用され、好成績を残し新たな一面を見せている。今シーズンも3試合に登板し、無失点。許した安打も1本だけと、好調をキープしている。だが、先発が崩れ勝ちパターンへ持ち込めないとなれば、唐川の出番は必然的に減ってしまう。先発経験があるだけに再転向となっても不思議ではない。

昨シーズンは14試合に先発登板した酒居知史も今シーズンは、5試合全て中継ぎでの登板となっている。そのうち3試合は1回を超えて投げており、1イニング限定の起用法というわけではない。

昨年は中継ぎを含め、15試合(内先発14試合)83回2/3を投げ、防御率5.59と結果を残すことができなかった。だが、2017年は19試合(内、先発7試合)で2完投、74回2/3を投げ、防御率3.13と一定の結果は残している。唐川同様に経験があるため、先発への配置転換を考えてもよいかもしれない。

また、日本ハムの栗山英樹監督が積極的に使用している「ショートスターター」という手もある。先発として6回、7回を投げるのではなく、短いイニングでの交代をあらかじめ決めておき、全力で抑えにかかる起用法だ。現時点で井口監督はこういった起用を示唆していないが、頭の中には当然あるだろう。

上位浮上のためにも開幕からつまずくわけにはいかない。危機的ともいえる状況で、「二軍からの抜擢」「一軍投手の配置転換」「ショートスターター」と多くの方法があるなか、井口監督はどういった策をとるのだろうか。巻き返しの一手に注目したい。

※数字は2019年4月9日終了時点