「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

ドラ1・甲斐野央は新たな勝利の方程式を築けるか 強心臓のルーキーに高まる期待

2019 4/9 11:00山浦和樹
甲斐野,ⒸYoshihiro KOIKE
このエントリーをはてなブックマークに追加

ⒸYoshihiro KOIKE

開幕カードの大きな収穫は甲斐野

ソフトバンクホークスは、開幕カードで埼玉西武ライオンズに3連勝し、最高のスタートを切り、9試合を終えて6勝2敗1分。

大きな収穫だったのは3月29日からの開幕カードの2試合に途中登板し、2回2/3を6奪三振で無失点に抑えたドラ1ルーキー甲斐野央だろう。4月3日には0-0の9回裏を3奪三振で切り抜けると、4日は3点リードで迎えた8回に2死一、二塁のピンチで登場してピシャリ。ここまで4試合に登板し4回を1安打無失点に抑えている。

まだ投球回も少なく気が早いかもしれないが、そんな甲斐野の開幕カードでの投球から、投球スタイルを探っていく。

まず、球種ごとの投球数を見ていくと、一番多かったフォークが19球、続いてストレート18球、スライダーは8球だった。フォークボールとストレートを主体に組み立てていることが分かる。 この2種類を投げ分けて、そこにスライダーを混ぜることで打者を翻弄するタイプのようだ。特に開幕カードはフォークボールへの自信が分かる投球内容だった。

ソフトバンク甲斐野の開幕カード対戦データ,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA


リーグ屈指の破壊力を持つ山賊打線の長距離打者を相手に、フォークボールを多投している。プロ初の対戦者となった4番山川を3連続フォークで空振り三振に打ち取るなど、その自信がうかがえる。

また、他の球種に比べて、空振り・ファウルになる割合が高くストライクの4割をフォークで稼いでいる。

ソフトバンク甲斐野の開幕カード投球データ,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA


相手打線の中軸に対して投げ込んでの結果なので、フォークボールの質の高さが際立った。

甲斐野の投球スタイルは王道的なリリーフ

次は投手の生命線であるストレートについて見ていく。フォークボールを活かすためにもストレートは重要な球種だ。

ソフトバンク甲斐野の開幕カード投球データ,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA


ストレートの平均球速は153km/h(最速156km/h、最遅でも151km/h)。速球を高めに投げてストライクを奪うだけでなく見せ玉にしながら、フォークボールを落とすことで打者をうちとるのが必勝パターンか。投球スタイルはリリーフの王道的なピッチングと言えそうだ。

走者を背負っても崩れず

最後にリリーフとして必要な要素について記載する。それは、塁上にランナーがいる場合の投球である。

リリーフ投手はランナーがいる場面から登板することは少なくない。試合の終盤では打者も気合が入っており、初球からギアをトップに入れておく必要がある。ランナーが出ていればなおさらだ。

ソフトバンク甲斐野の開幕カード投球データ,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA


ドラ1とはいえルーキー投手、しかも開幕カードということで緊張はあったはずだ。

こういう試合でのルーキー投手は多くの場合ランナーを背負うと崩れがちだが、ランナーを背負ったときの奪ストライク率は6割でランナーがいない場合の5割よりも高かった。プレッシャーへの強さを感じさせる頼もしい結果だ。むしろランナーを背負ったほうが燃えるタイプなのかもしれない。

強心臓はプロでリリーフをやっていくには必要な要素だ。

開幕カードのデータが本物なら甲斐野はストレートの球威と、切れ味バツグンのフォークボールという抑え投手に必要な要素を揃え、かつ強心臓も持ち合わせていることになる。

プロ初登板で初勝利を挙げる運の良さも甲斐野への期待を大きくさせる。昨季セーブ王の森唯人や加治屋蓮らとともに、ソフトバンクの新たな勝利の方程式となれるか見物だ。リーグ制覇と3年連続日本一へのカギを握っているのは甲斐野かもしれない。