攻守ともに苦しむ村上宗隆
今年3月には史上最年少の19歳で日本代表にも選ばれ、今シーズンの新人王候補でもあるヤクルトの村上宗隆が苦しんでいる。オープン戦では、14試合で打率.245(49打数12安打)、4本塁打と自慢の長打力を見せ、大引啓次や川端慎吾といった実績のある選手たちを差し置いて、開幕スタメンの座を勝ち取った。
開幕戦では犠飛を放ったもののノーヒット。初安打が生まれたのは4試合目となる4月2日のDeNA戦だった。4月4日には待望の今季初本塁打。翌5日にも安打を放ち、プロ入り後初の2試合連続安打をマークした。ここから波に乗るかと思われたが、また無安打が続いている。
これまでの9試合で打率.103(29打数3安打)、1本塁打、3打点は戦力になっているとは言い難い。また守備面でも粗さを露呈しており、4月3日のDeNA戦から3試合連続エラー。攻守ともに精彩を欠いているような状況だ。だが、小川淳司監督や宮本慎也ヘッドコーチといった首脳陣もこれは想定内、「育成」となかば割り切っている部分があるだろう。
現在チームは5勝4敗と貯金もあり、まだまだシーズンは始まったばかりの序盤戦。多少は目をつぶってでも、将来の主軸候補に経験を積ませたいという首脳陣の考えも理解できる。その期待に村上は応えることができるだろうか。
「第4の外野手」からレギュラーを目指す塩見泰隆
現在のヤクルトには村上以外にも育成対象、いわば強化指定選手となっている選手がいる。オープン戦では楠本泰史(DeNA)に次ぐ、打率.385(52打数20安打)と結果を残した塩見泰隆外野手だ。
惜しくも開幕スタメンとはならなかったが、2戦目でスタメン出場。相手投手が左腕だったこともあり、左打ちの雄平の代わりに主軸となる5番として、右打ちの塩見を首脳陣は起用した。だが、結果は奮わず、4打席で3つの空振り三振を喫し、残りの1打席も凡退に終わった。
その後、代打や守備固めなどの途中出場で経験を積んでいく中、迎えた4月6日の中日戦。休養の青木宣親に代わり「2番・中堅」で今シーズン2度目のスタメンに抜擢された。外野の主力選手がスタメンを外れるとき、その代役となるのが塩見なのだ。まさに「第4の外野手」といったところだろう。
青木に代わって出場したこの試合では、今シーズン初安打をマーク。昨シーズンは24打席連続ノーヒットと苦しんだが、今年は10打席目での初安打となった。
まだまだ控えとしてベンチを温める機会が多い塩見だが、これまでの起用法を見る限り、首脳陣は第4の外野手からレギュラーへステップアップさせようとしているようだ。代打や守備固め、代走といった試合終盤の切り札に収まるような選手ではない。そんな期待が込められていることが、存分に伝わってくる。
首脳陣だけでなく、ファンの期待も大きいふたり
球団首脳陣が、村上と塩見に大きな期待をかけていることは間違いない。それはファンも同様で、村上が打席に入ったときの応援歌は山田哲人や青木宣親に次ぐほどの大音量。初安打時の塩見に送られた拍手もそうだった。
神宮球場は比較的、選手に暖かい球場である。勿論ヤジがゼロというわけではないが、将来ある若手選手たちには一際大きな声援と拍手が送られる。仮に凡退やミスをしても、「しょうがない、次は頼むぞ」といった声が多く聞こえてくる。それは期待の表れではないだろうか。
首脳陣やファンの期待を背に乗せ羽ばたくことができれば、今シーズンだけではなく将来の屋台骨となってくれるはずだ。
※数字は2019年4月7日終了時点