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藤原恭大、根尾昂、小園海斗、吉田輝星、太田椋 2018高卒ドラ1たちが歩むそれぞれの道

2019 4/8 11:47勝田聡
藤原恭大,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

根尾と藤原は対照的な育成方針

3月29日にプロ野球が開幕し、1週間以上が経過した。各チームや新人たちの動向は気になるところだろう。そのなかで2018年のドラフトで1位指名された高卒ルーキーたちは、それぞれの道を歩み始めている。期待のルーキーたちのここまでを振り返ってみたい。

12球団高卒新人で唯一の開幕スタメンとなった藤原恭大(大阪桐蔭高→ロッテ1位)は、大きな声援に迎えられた開幕戦の第4打席に遊撃への内野安打を放ち、上々の一軍デビューを飾った。さらに、4月6日のソフトバンク戦では、二死満塁のチャンスで回ってきた第3打席にライト前ヒットを放ち、プロ初打点を挙げる活躍を見せた。

だが、その翌日7日に一軍登録を抹消された。タイムリーは放ったもののここまで19打席でヒット2本、打率.105と苦戦していただけに、良いイメージで終わらせてあげようという首脳陣の親心があったのかもしれない。それだけ将来のレギュラーとして期待されている証しでもある。

チームとしてはスター候補生だけに一軍で育成をしていきたいところだろうが、勝利も目指していかなければならない。現在、センターのポジションを守る加藤翔平が好調なこともあり、藤原としては二軍でじっくり実戦経験を積む時間がある。まずは、プロの水に慣れ二軍で実績を残してから、満を持して一軍復帰を果たしてほしいところだ。

一方、ドラフト時から藤原以上の注目を浴びた根尾昂(大阪桐蔭高→中日1位)は、二軍で着々と実績を積んでいる。

ここまで16試合の出場で打率.136(66打数9安打)、1本塁打と結果は伴っていないが、高卒ルーキーながらリーグ最多となる72打席を与えられている。遊撃のポジションには根尾以外が守備についていないことからも並々ならぬ期待を感じさせる。

失策が7つあり、守備率.901は決して誇れる数字ではないが、まだ高卒1年目である。昨シーズン限りで現役を引退した荒木雅博コーチからの指導で日々特訓中。ポジション的にもすぐに一軍で活躍を期待するのは難しいため、二軍で基礎を学んでからの一軍昇格が待たれる。

小園海斗のポジションはどうなる?

藤原とともに開幕一軍入りを果たした小園海斗(報徳学園高→広島1位)は出場機会がないまま、二軍降格となった。二軍ではすでに5試合に出場しているが、打率.083(24打数2安打)と苦戦している。

広島は一軍が3連覇中で主力選手もまだ若い。特に小園が守るであろう、二遊間には菊池涼介、田中広輔とリーグ屈指の存在がおり、すぐに一軍で活躍するのは難しい状況だ。とは言うものの、菊池はポスティング制度を利用してのMLB移籍を目指しており、早ければ今シーズンオフにチームを去る可能性もある。

その場合、菊池の後釜として小園が二塁手に抜擢されることも十分に考えられる。完全なるコンバートでなくとも、アマチュア時代に遊撃手だった選手がプロに入ってから二塁手として起用されることは決して珍しくない。

巨人吉川尚輝がその最たる例だ。大学時代は遊撃手としてプレーしていたが、巨人の遊撃には坂本勇人という絶対的なレギュラーがいるため、現在は二塁のポジションについている。昨シーズン、坂本が離脱した際は遊撃を守っていた。また、坂本も今年で31歳で、負担の大きい遊撃手として5年、10年を戦っていくことは現実的ではない。タイミングを見て吉川尚にバトンタッチすることもチームとして考えているだろう。

もちろん巨人と広島でチーム事情は異なるが、菊池の後釜として二塁を守り、将来的に遊撃へと再転向することも選択肢のひとつとしてあるだろう。現在は遊撃のみの出場だが、今後球団としてどのようなプランを描いていくのか注目である。

吉田輝星が二軍で先発デビュー

4月3日、吉田輝星(金足農高→日本ハム)が巨人との二軍戦で初先発を果たした。打線の援護なく黒星となったが、3回1失点、被安打4、奪三振4とまずまずの内容に終わっている。

これからも二軍で経験を積みながら、一軍を目指すことになる。チームの先輩を見てもダルビッシュ有(現・カブス)の一軍デビューは6月半ば。大谷翔平(現・エンゼルス)は野手としては開幕スタメンを勝ち取っていたが、初登板は5月下旬だった。日本ハムにドラフト1位で入団し世界へ羽ばたいた大先輩たちも、この時期に一軍登板を果たしていたわけではない。吉田輝も焦らず、満を持しての一軍昇格を目指したいところだ。

もうひとりの高卒ドラフト1位である太田椋(天理高→オリックス1位)は骨折で離脱中。残念ながら現時点で復帰のメドはたっていない。まずは怪我の回復に専念し、早期復帰を目指してほしいところだ。

各選手ともにチーム内での立場や育成方針の違いがあり、それぞれの道を歩んでいる。高卒ドラフト1位という金の卵たちは、どのような成長曲線を描いていくのだろうか。また、どのように起用されていくのだろうか。

※数字は2019年4月7日終了時点