今季は真価が問われる
昨季キャリアハイとなる11勝(6敗)をマークし、侍ジャパンに初選出された日米野球では5回7奪三振1失点の好投を見せ、飛躍のシーズンとなった日本ハムの上沢直之。今季は栗山英樹監督から初の開幕投手に指名され、先発投手陣の柱として期待されている。
2014年に8勝を挙げるも、2015年は5勝(6敗)止まり。2016年には肘を手術し、復帰した2017年は4勝(9敗)と苦しいシーズンが続いていた。だが、2018年に待望のブレイク。今季は真価が問われる1年となる。
昨季キャリアハイとなる11勝(6敗)をマークし、侍ジャパンに初選出された日米野球では5回7奪三振1失点の好投を見せ、飛躍のシーズンとなった日本ハムの上沢直之。今季は栗山英樹監督から初の開幕投手に指名され、先発投手陣の柱として期待されている。
2014年に8勝を挙げるも、2015年は5勝(6敗)止まり。2016年には肘を手術し、復帰した2017年は4勝(9敗)と苦しいシーズンが続いていた。だが、2018年に待望のブレイク。今季は真価が問われる1年となる。
昨季は、先発投手として優秀な成績を残した上沢。防御率はリーグ3位の3.16、得意のフォークを武器に奪三振数はリーグ5位の151個。さらにソフトバンクの武田翔太と並び、リーグ最多の3完封をマーク。

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セイバーメトリクスの様々な指標でも、リーグ上位にランクイン。先発投手が6イニング以上を投げ、3自責点以内に抑えた時に記録されるQS(Quality Start)は、同僚のマルティネスと並んでリーグトップの17(QS率はリーグ4位の68.00%)。1投球回あたり何人の走者を出したかを表すWHIP(算出方法:(与四球+被安打)÷投球回)は、リーグ3位の1.11。
また、FIP(Fielding Independent Pitching)はリーグ3位の3.23。野手の守備力や運に左右される防御率の一方で、FIPは完全に投手の責任である「被本塁打」「与四死球」「奪三振」で評価する指標だ。
計算式は、
{13×被本塁打+3×(与四球+与死球-敬遠)-2×奪三振}÷投球回数+リーグ補正値
となる(※)。リーグ補正値の計算式は
リーグ全体の防御率-{13×被本塁打+3×(与四球+与死球-敬遠)-2×奪三振}÷投球回
で求められる。
※ 厳密にはシーズンごとに係数が異なる
上沢がこれだけ優秀な成績をおさめることができたのは、最大の武器であるフォークの存在が大きい。直球は昨季、最速151kmをマークしているが、平均的な直球の球速は140km台と決して速いわけではない。ところが面白いように、打者のバットが空を切る。
球種もスライダーやカット、カーブやナックルカーブまで操り、打者に的を絞らせない。緩急に高低と、多彩な攻め方ができるところも魅力だ。
また、制球力も抜群で、9イニングあたりに与えた四球数を表すBB/9(算出方法:与四球数÷投球回数×9)はリーグ3位の2.07。フォークというウイニングショットがあり、制球力にも優れた総合力の高さはリーグ屈指だ。

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フォークをはじめ、カーブなど縦の変化球は外国人に有効。メジャーリーグにおいて、フォークボールなどを操るスプリッターは肘を痛めやすいとされ、忌避される傾向がある。そのため、縦の変化球に見慣れていない。
巨人で活躍した後、カージナルスに移籍したマイコラスも縦に大きく割れるカーブが武器だったが、メジャーでもカーブを駆使して18勝をマークする大活躍を見せた。
上沢は日米野球で登板した際、5回で7つの三振を記録したが、その全てをフォークで奪っている。また、要所で使用したカーブも効果的だった。初の侍ジャパンのマウンドで稲葉監督に鮮烈な印象を残しており、今秋に開催されるプレミア12に再び上沢が招集される可能性も十分にあるだろう。
今季の開幕戦では6回8安打3失点という内容で勝ち負けのつかなかった上沢。初の開幕投手ということもあり力んだか、初回に3つの四球を与えて2失点を喫するなど、珍しく制球が定まらなかった。
今後、上沢が日本ハムのエースとして君臨していくためには、昨季同様かそれ以上の成績が求められる。また、今季の成績がプレミア12、来年の東京五輪にもつながっていくだろう。縦の変化球を操る本格派右腕なだけに、国際大会での活躍を大いに期待したい。