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巨人・阿部慎之助が通算400本塁打達成 捕手として歴代屈指の長距離砲

2019 6/1 16:34SPAIA編集部
阿部慎之助,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

阿部慎之助が球団史上3人目の通算400本塁打を達成

巨人の阿部慎之助選手が1日、東京ドームで行われている中日との10回戦で今季第1号となる勝ち越し本塁打を放ち、プロ野球史上19人目となる通算400号本塁打を達成した。巨人の生え抜き選手としては王貞治(868本)、長嶋茂雄(444本)というレジェンドに続く、史上3人目の偉大な記録を打ち立てた。

阿部慎之助,インフォグラフィック,ⒸSPAIA


昨季はプロ入り以来、初めてのレギュラー落ちを経験した。今季は心機一転、慣れ親しんだ捕手のポジションへ再挑戦しているが、野球人生の岐路に立たされているのが現状だ。この一発で再び波に乗っていきたいところだが、主砲の完全復活はあるのだろうか。

ここでは、球界を代表するホームランバッターの証しである400本塁打を達成した阿部慎之助の功績を振り返りたい。

400本塁打までの道のり

阿部は2000年にドラフト1位で中央大学から巨人へ入団。01年の開幕戦では、巨人の新人捕手としては23年ぶりにスタメンマスクをかぶった。それまで正捕手だった村田真一が30代後半を迎えていたこともあり、1年目から正捕手の座を掴んだ。

1年目は打率こそ.225にとどまったものの、8番打者としては驚異の13本塁打をマーク。2年目に打率.298、18本塁打という成績を残して主軸打者へ近づくと、4年目で完全に覚醒。4月に月間16本塁打と打ちまくり、最終的に打率.301、33本塁打。T・ローズ、小久保裕紀の加入などで「史上最強」と呼ばれた打線の一角を担い、球界を代表する長距離砲への仲間入りを果たした。

その後も順調に本数を重ねる中、守りでも絶対的な正捕手として2007年からのリーグ3連覇に貢献した。2010年はキャリアハイの44本塁打を放ち、2012年は“飛ばない”統一球の環境で打率.340、104打点と圧倒的な成績で二冠王を獲得。2013年も32本塁打を放つなど、再びリーグ3連覇の立役者となった。

2015年からは首を痛めた影響で一塁手へコンバート。打撃面でもこのあたりまでが全盛期と言えそうだが、昨季もチームの左打者でトップのOPS.769をマークするなど、まだまだ一線級の打者であることに変わりはない。

新人年から18年連続2桁本塁打は歴代3位タイ

阿部のキャリアで特筆すべきは、打棒を維持し続ける継続性だ。ここまで新人年以来、18年連続でシーズン2桁本塁打を達成している。昨季は長嶋の17年連続を抜き、巨人の生え抜き打者としては歴代最長記録となった。

これは、シーズンを棒に振るほどの大きな故障はせず、たとえ故障のため出場試合数が少なくなってしまったシーズンでも、打席に立てば着実に一発を放ってきた証しでもある。昨季は代打での出場が多く、プロ入り以来最少の198打数に終わったが、その中でも18打数あたり1本という本塁打のペースは全盛期と変わらなかった。

新人年からの連続二桁本塁打,ⒸSPAIA

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新人からの18年連続2桁本塁打は山本浩二と並んで歴代3位の記録。2位には20年連続で張本勲、歴代トップは21年連続の清原和博である。あまり注目はされていないものの、名だたる打者が上位に名を連ねている大記録。今季も2桁をマークして単独3位の19年連続となるか注目される。

歴代でも3本の指に入る「強打の捕手」

前述のように新人年から強打者として活躍している阿部だが、キャリアのほとんどを捕手として過ごした上で、ここまで本塁打を重ねてきたことに大きな価値がある。

捕手のシーズン本塁打記録,ⒸSPAIA

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捕手のシーズン本塁打記録についても、阿部は2010年に44本塁打を放ち、1962年の野村克也と並び3位に入っている(歴代最多は1963年に野村克也が放った52本)。また、記録に残っているのは本塁打だけではない。首位打者に輝いた2012年の打率.340は、1991年の古田敦也を2毛差で抜いて捕手のシーズン打率歴代トップである。

通算成績で見ても、捕手をメインにキャリアを送った選手の中で阿部の400本は、野村(657本)、田淵(474本)に次いで歴代3位。捕手としては歴代屈指の強打者であり、「左打ちの捕手」というくくりでは歴代最高と言って間違いないだろう。