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近本光司、辰己涼介の即戦力組が好結果 ドラフト1位たちのオープン戦

2019 3/28 11:00勝田聡
近本,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

近本光司が開幕スタメン奪取

いよいよ2019年のプロ野球ペナントレースが始まろうとしている。昨年のドラフトで指名された選手、なかでもドラフト1位の「金の卵」たちはオープン戦でどのような成績を残したのだろうか。

ドラ1野手表,ⒸSPAIA

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野手陣では楽天の辰己涼介(立命館大)と阪神の近本光司(大阪ガス)が存在感を示している。辰己は打率.303をマークし、オコエ瑠偉と激しいレギュラー争いを繰り広げており、開幕一軍入りは確定的。レギュラー定着となれば、昨年の田中和基に続いてチームから2年連続となる新人王まで見えてくる。

一方の近本は「2番・中堅」ですでに開幕スタメンが内定。同じく「1番・遊撃」が内定しているドラフト3位の木浪聖也(ホンダ)とともにフレッシュな上位打線でチームを牽引する。

高卒のドラ1組は広島の小園海斗(報徳学園高)が緒方孝市監督も驚くほどの結果を残した。15試合に出場し打率.231、2本塁打を記録。当初は春季キャンプ中盤で二軍に合流する予定だったが、オープン戦の最後まで完走した。ここからの育成方針は明らかになっていないが、田中広輔、菊池涼介の二遊間を継承する後継者としての資格はありそうだ。

ロッテの藤原恭大(大阪桐蔭高)も14試合に出場し、打率.219とまずまずの成績を残した。守備でも補殺や背走しながらのスーパーキャッチを見せ、井口資仁監督にアピールしている。高卒新人とは思えない動きを見せたことは間違いない。

もっとも注目を浴びていた中日の根尾昂(大阪桐蔭高)は自主トレ期間中の故障もあり、わずか2試合の出場に留まった。現在は二軍の公式戦に出場しており、すでに本塁打も記録。実績を積んでの一軍昇格を目指している段階だ。

オリックスの太田椋(天理高)は二軍の教育リーグで死球を受けて骨折し離脱してしまった。それもオープン戦出場予定の前日という間の悪さ。しかし、プロに故障はつきもの。傷が癒えてからの躍進に期待したい。

このように野手陣を見ると、大卒や社会人出身の「即戦力候補」が順当に結果を残していることがよくわかる。シーズンでも同様の活躍ができるか注目したい。

上茶谷大河は4回パーフェクト投球を披露

投手陣に目を向けると巨人の高橋優貴(八戸学院大)、DeNAの上茶谷大河(東洋大)が開幕ローテーション入り濃厚となった。とくに上茶谷は3月7日の中日戦で4回パーフェクトピッチング。わずか52球でまとめる好投を見せ、大きな注目を浴びた。DeNAはここ数年大卒のドラフト1位が揃って1年目から結果を残している。上茶谷も先輩たちに続きたいところ。

西武の松本航(日体大)もローテーション入りが確実視されていた。しかし、ここにきて肺炎を患い、復帰は5月以降になりそうとの報道があった。西武は菊池雄星がマリナーズへ移籍し、内海哲也、榎田大樹も戦列を離れている。そのような台所事情に追い打ちをかけるような松本航の離脱となった。昨シーズンのパ・リーグ覇者が開幕前から苦しい状況に追い込まれている。

ソフトバンクの甲斐野央(東洋大)は中継ぎとして7試合に登板した。防御率8.53と好投を続けたとは言い難いものの、150キロを超えるストレートに鋭いフォークは魅力的。デニス・サファテが二軍スタートとなっただけに森唯斗、加治屋蓮らとともに「勝ちパターン」として起用される可能性もありそうだ。

ヤクルトの清水昇(國學院大)は1試合の登板。結果的に無失点に抑えたものの小川淳司監督が「褒められた内容じゃない」とコメントするように今一つの出来だった。二軍調整から一軍入りを目指すことになる。

昨夏の甲子園で大旋風を巻き起こした日本ハムの吉田輝星(金足農高)は一軍登板なく、二軍で汗を流している。現時点で早期の一軍昇格はなさそうだ。

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開幕ローテーションに入った上茶谷と高橋はもちろん、その他の大卒組も1年目からの活躍が期待されている。チーム事情や役割によって昇格の時期は異なるだろうが、一軍の戦力としてチームに貢献することを期待したい。また、唯一の高卒である吉田輝はダルビッシュ有(現カブス)や大谷翔平(現エンゼルス)といった高卒投手の大先輩のように、大きく羽ばたくためにもこの時期はしっかりと身体作りを行ってほしい。

※数字は2019年3月24日終了時点