4年連続V逸は3度目の球団ワーストタイ
球界の盟主が巨人であることは、どの球団のファンであっても否定できないだろう。日本で最初のプロ野球球団である大日本東京野球倶楽部として1934年に創設され、リーグ優勝45回、日本一22回という圧倒的数字を誇る。80年を超える歴史において、実に約半分のシーズンでリーグ優勝。川上監督時代の65年から73年にかけての9連覇に象徴されるように、常勝軍団の名をほしいままにしてきたのは紛れもない事実だ。
ただ、時代は流れ、戦力均衡を目的にドラフトなどの選手獲得方法も変遷を重ねたこともあり、次第に巨人の絶対的な存在感が影をひそめてきた。昨季の巨人は67勝71敗5分け、勝率.486で3位。シーズン負け越しは06年以来、12年ぶり8度目となり、15年から4年連続V逸は44、46~48年(45年は戦争で休止)、03~06年に並び3度目の球団ワーストタイ記録となった。球団史上2度目の2年連続Bクラス(前回は05年5位→06年4位)こそ免れたものの、危機的状況であることは明らかだ。
監督就任1年目から3年連続V逸は2人目
現役引退から即、就任となった高橋監督は16年から3年連続V逸。監督就任1年目からに限ると84~86年の王監督に続き球団史上2人目である。近年は野球賭博問題など不祥事も重なりチームに暗い影を落とした。そんな状況のチームを誰に預けるのか。フレッシュかつクリーンなイメージの高橋監督への期待は大きかったが、重圧が大き過ぎた感は否めない。
では、どうすればいいのか。球団が出した答えは第3次政権となる原監督(今季で13期目)の擁立だった。
球団首脳は状況打破を目指し、30億円を超えるともいわれる資金を投入しての大補強を推し進め、原監督をサポート。FAで広島からリーグMVPの丸佳浩、西武から炭谷銀仁朗を獲得。球団として9度目となるFA市場からのダブル獲りは気合いの表れだ。そのほかにもオリックスを自由契約となった中島宏之、米大リーグ・マリナーズを退団した岩隈久志と契約。さらに助っ人として昨季MLBで20本塁打のビヤヌエバ、抑え候補のクックをチームに迎え入れた。
それでも立ちはだかるライバルは手強い。最大の強敵と目される広島とは17年に7勝18敗、18年は7勝17敗1分け。同一チームに2シーズン連続での2桁借金は球団史上初という惨状だ。昨季の戦いを総合的にみても、1点差試合で12勝24敗(勝率.333)、犠打成功率.680と2年連続で両リーグ最低の数字もあり課題は山積みだ。
チーム防御率は3.79とリーグ最高だったが、緻密さと詰めの甘さを欠くのが現状だ。実際、エース・菅野と4番・岡本の活躍は際立つものの、2位のヤクルトは得失点差がマイナス7で貯金9なのに対し、巨人は得失点差プラス50で借金4の3位。圧勝したかと思えば、接戦をことごとく落とす。この悪循環を解消しない限り、大補強を敢行しても苦境から脱却できないだろう。
渡辺恒雄氏がV厳命
3月22日には渡辺恒雄読売新聞グループ本社代表取締役主筆が、都内のホテルで行われた「読売巨人軍激励会」であいさつ。原監督をはじめ首脳陣、ナインを前に5年ぶりのV奪回を厳命した。さらに同氏は今年5月30日で93歳を迎えることを明かし、常勝軍団再興に対する切実なゲキも飛ばした。渡辺主筆の思いにはG党も共感するところだろう。
逆境を力に変え5年ぶりのリーグVを現実のものとできるか。5年連続V逸という球団史上ワーストの屈辱にまみれるのか。第3次原巨人の戦いから目が離せない。