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松坂大輔は5倍以上 年俸大幅アップを勝ち取り今季に臨む大ベテラン選手たち

2019 3/26 07:00青木スラッガー
松坂大輔,ⒸYoshihiro KOIKE
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ⒸYoshihiro KOIKE

松坂大輔は5.33倍増の大幅アップ

近年のプロ野球はオフに「大減俸」が話題となる印象がある。昨オフにも、ソフトバンクの長谷川勇也や楽天の今江年晶が1億円以上ダウンで契約を結んだ。また、オリックスの金子千尋と中島裕之は制限超えの大減俸提示を受けた末、自由契約となって他球団に移籍している。

だが一方で、大きく金額を増やした年長選手もいる。ここでは、今季35歳以上となる「大ベテラン」クラスで、年俸アップを勝ち取った選手に注目してみたい。

年齢からすると「異例」ともいえるアップ額となったのは、今季で39歳を迎える中日・松坂大輔だ。移籍1年目の昨季は11登板で6勝4敗、防御率3.74の成績。メジャー帰りの2015年に入団したソフトバンクでは、3年間でわずか一軍1登板と苦しんだが、そこから見事な復活劇でカムバック賞を受賞した。

ファンの客足が遠のいていたチーム事情から、当初は営業面を考えての獲得とも思われた。だが、シーズンを終えてみれば、チームの日本人投手で最多の勝ち星を挙げ、欠かせない戦力に。その活躍で年俸は一軍最低保証レベルの1500万円から、6500万円増の8000万円へ。5.33倍増の大幅アップを勝ち取っている。

青山浩二、鶴岡慎也も倍増以上

投手では、他に楽天・青山浩二も倍増以上となる大幅アップとなった。2013年にチームが日本一を達成した際には年俸1億円に達したリリーフ右腕だが、近年は加齢とともに衰えが目立ち、2016年オフから2年続けて減額制限を超える大幅ダウン。17登板に終わった2017年オフには、2000万円まで落ち込んでいた。

2018年パ・リーグストレート被打率ランキング

データスタジアム調べ


ところが、35歳の昨季は52試合に登板、26ホールド、防御率1.85と抜群の成績。ストレートの被打率はパ・リーグトップの.184を記録し、頼れるリリーフエースとして復活を果たした。きっちり活躍が評価され、年俸は3000万円増の5000万円まで回復している。

今季で38歳を迎える日本ハム・鶴岡慎也も年俸大幅アップを勝ち取ったベテランのひとりだ。ソフトバンクでの2017年は強肩捕手として台頭した甲斐拓也に押しやられ、プロ入り後一軍定着以来最少の29試合にとどまった。そこで出場機会を求めて古巣の日本ハムへ復帰。捕手としてチーム最多の89試合に出場し、打撃面でも打率.243とまずまずの数字をマークするなど復活の1年となった。

ソフトバンク時代の年俸7600万円から3000万円まで下げての日本ハム入団だったが、今季は倍増の6000万円。日本ハムは正捕手最有力の清水優心が離脱しており、鶴岡は今季もメイン捕手として欠かせない存在となりそうだ。

ヤクルトは大幅アップのベテラン続出

チーム内で年俸大幅アップのベテランが続出したのはヤクルトだ。

雄平は17年目で自身初の1億円に到達。2017年は怪我により後半戦から離脱。それが最下位転落の直接的な原因になってしまったが、昨季はシーズンを通して主軸打者として活躍した。自身最高の打率.318をマークし、4年ぶりの2桁到達となる11本塁打を放つなど復活。35歳のシーズンで4000万円増を勝ち取っている。

雄平と同級生の坂口智隆も4000万円増で、今季年俸は1億4000万円。昨季は青木宣親の加入により、プロ入り以来経験のない一塁手へコンバートする難しいシーズンとなった。それでもオリックス時代の2010年以来となる打率3割超えとなる.317をマークし、出塁率も.406の好成績で、後半戦からは不動のリードオフマンとして活躍した。

近藤一樹は2400万円から3600万円増となり、今季は自身最高の6000万円に到達した。20代の頃はオリックスで先発として活躍していたが、30歳からのリリーフ転向後は怪我で育成落ちするなど苦しい時期を過ごした右腕。ヤクルトにトレード移籍してから開花し、移籍3年目の昨季は74登板、35ホールド、防御率3.64と大車輪の働きだった。36歳にして初タイトルとなる最優秀中継ぎ投手も獲得している。

ヤクルトは彼らベテラン3人の活躍がチーム躍進の原動力であったといえるだろう。

一般的に年俸は30歳過ぎの全盛期を過ぎた後、衰えとともに引退まで下がり続けていくものだ。そんな中で、30代後半を迎えてから上昇気流に乗ろうとしている大ベテラン選手たち。今季もさらに年俸アップが続くような活躍を期待したいところだ。

※金額はすべて推定