苦しい投手事情を救えるか
昨シーズン4位に沈んだオリックスバファローズ。オフには金子千尋、西勇輝といった先発の二枚看板が立て続けに移籍してしまった。戦力ダウンは免れないが投手間での競争は活性化。先発の椅子を巡ってアピールが続いている。
その中で注目してほしい投手が松葉貴大だ。松葉は2012年オリックスに1位指名された左腕で、2014年には8勝を挙げ苦しい投手陣を支えた。2016年には7勝9敗で負け越したが防御率3.26を記録し、一年を通して大きく崩れることもなく安定した投球を見せた。
だが、2017年には、3勝12敗と低迷。2018年には自己最少の8試合の登板に留まってしまった。西と金子が移籍してしまい、チームは計算できる投手を一人でも欲しい状況。復調が期待される。
145キロが分水嶺に
では松葉の復調には何が必要か。投球データに面白い傾向があることが分かった。
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こちらは2018年、松葉が投球した打席で、最高球速が145キロ以下の場合と146キロ以上の場合でデータを取ったものである。投球イニングはほぼ変わらないが、失点、防御率、被本塁打と明らかに違いが出ている。
松葉は球速が145キロ以下の場合、安定した投球を見せることができる。しかし146キロ以上になると、投球が不安定になってしまうことがうかがえる。
ちなみに試合数は同じだが、145キロ以下の試合は、1試合がリリーフ登板である。そこで2/3イニングを投げているため、先発3試合で18イニングと平均6イニング投げている。一方で最高球速146キロ以上の試合は、4試合すべて先発で17と2/3イニングを投げた。平均すると5イニングも投げられていない。
2017年の成績でも同様の結果に
2018年シーズンの松葉の登板は8試合。データ不足と思われる方もいるだろう。
では、2017年ではどうだったのだろうか。以下のデータをご覧いただきたい。
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こちらは2017年の先発時最高球速別試合データである。2018年ほどではないが、球速の差による違いが出ている。イニングも、145キロ以下の場合、12試合で81イニングと7イニング以上を平均して投げられているのに対し、146キロ以上出た試合に関しては、9試合で49イニングと平均で6回投げることができていない。このことからしてもやはり145キロ以下に最高球速を抑えられれば、安定した投球ができるようだ。
なぜ最高球速145キロを境に差が出るのかまではわからなかったが、データからは松葉が結果を出すには最適な球速があることがわかった。
2月24日のソフトバンク戦に登板予定だった成瀬が肉離れを起こし、代理で登板する予定だったが雨で試合は中止、初の実戦登板とはならなかった。投手事情が苦しいチームを救えるか、松葉の球速と結果に注目したい。