満を持しての初選出
3月9、10日、京セラドーム大阪で行われる強化試合でメキシコと対戦する侍ジャパン。そのメンバーに、初めて招集された男がいる。球界屈指の韋駄天、日本ハムの西川遥輝だ。
これまでも「なぜ、選ばれていないのだろう?」という選手は数多く存在したが、西川はその筆頭格。2014年に初めて盗塁王のタイトルを獲得し、2017、2018年と2年連続で盗塁王に輝いた。出塁率も過去3年は4割前後をマークするなど、球界を代表するリードオフマンの一人に成長。まさに満を持しての選出となった。
ⒸSPAIA
西川の選出については、ファンからも「念願の…念願の…!!この日をずっと待ってたよ」「日本代表を今年の目標に掲げていた遥輝さん。ついに選ばれたと思いました」「やっと選ばれたという思いが強いです。スピードスターぶりを見せつけてください」といった声が多く寄せられていた。
高出塁率の要因は選球眼の良さ
西川の魅力は足だけではない。選球眼の良し悪しを確認する際に用いられるセイバーメトリクスの指標のIsoD(出塁率-打率で算出)が、西武の山川穂高に次いでリーグ2位。四死球による出塁率が高い上に、盗塁成功率も.936と高い。「塁に出すと走られてしまう」と投手にプレッシャーを与えられることも高出塁率につながっているのだろう。
ⒸSPAIA
さらに、ボール球か否かを見極める率は広島の鈴木誠也や同僚の近藤健介、ヤクルトの山田哲人など、そうそうたるメンバーを抑え、12球団で堂々の1位。際どい球には手を出さず、塁に出ると走られる、投手にとっては非常にやっかいな打者と言える。
ⒸSPAIA
走塁の速さと上手さを兼ね備える
足の速い選手は多いが、走塁の上手さも兼ね備えた選手は少ない。西川は50mを5秒8で走る脚力に加え、走塁テクニックにも優れている。例えば、三塁打を狙う際には一塁までを直線で走り、一二塁間で大きく膨らみ、二三塁間は再び直線で走るという考え方を持っている。
通常、三塁打を狙う際の走者は一塁到達前に大きく膨らみ、その後は円を描くように三塁まで向かうが、西川は違う。そのベースランニングが万人に通じる走法かは分からないが、西川にとっては最もスピードの出る走り方なのだろう。
目指すは通算500盗塁
2018年6月1日、西川は通算200盗塁を達成した。そして、その試合後のヒーローインタビューで「8年かけて200盗塁できたので、残りの野球人生で500盗塁を目指していきたい」と意気込みを語っている。
長いプロ野球の歴史において500盗塁に到達しているのは、福本豊、広瀬叔功、柴田勲のわずか3人。非常に高い目標といえる。だが、5年連続30盗塁以上を記録している西川が、今後も年間30~40個のペースで盗塁を重ねていけば決して不可能な数字ではない。
ⒸSPAIA
侍ジャパンのリードオフマンへ
今回、初めて侍ジャパンに選ばれたことを受け、西川は自身のブログで「大変光栄であるとともに身の引き締まる思いです。日の丸を背負う責任感と誇りを持って勝利のために全力でプレーをしたいと思います」と綴っている。一言一句からは、「やっとつかんだチャンスを必ずものにする」という意気込みがひしひしと伝わってくる。
侍ジャパンのリードオフマンの顔ぶれといえば、西武の秋山翔吾やヤクルトの山田、広島の田中広輔らが挙げられる。また、西川と同じ外野手としては、ソフトバンクの柳田悠岐やDeNAの筒香嘉智、巨人の丸佳浩、広島の鈴木誠也らも代表候補に入ってくるだろう。
ライバルは多く熾烈な争いになることは間違いないが、西川には「足」や「選球眼」といった武器がある。日の丸を背負い、疾風のごとくダイヤモンドを駆け抜ける姿に期待したい。