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角中勝也、3度目の首位打者なるか 過去達成者はそうそうたる顔ぶれ

2019 3/5 07:00浜田哲男
角中勝也,ⒸYoshihiro KOIKE
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ⒸYoshihiro KOIKE

上位進出には、角中の活躍が必須

昨季は投打ともに振るわず、最下位の楽天とわずか1ゲーム差の5位と低迷したロッテ。特にチーム本塁打は78本のリーグワーストに終わるなど、長打力不足が最後まで響いた。 今季から新助っ人として、実績十分なレアードやメジャー通算35発のバルガスを補強。昨季から台頭した中村奨吾や井上晴哉らと共にある程度の打線の形は見えてきた。しかし、ロッテが2016年以来のAクラス、さらにその上を目指すためには、シーズンを通しての角中の活躍が必須だ。

昨季は、西武とのオープン戦で外野フェンスに激突。開幕直前に胸椎を圧迫骨折して出遅れた。5月に復帰して以降は主に4番に座り、交流戦に入ると打撃が絶好調に。6月は月間打率.395をマークするなど、チームの交流戦勝ち越しに貢献した。しかし、8月~9月は打率2割前後。角中の不振と共にチームも低迷した。

首位打者3回以上は、わずか11人

2012年、2016年に首位打者を獲得した角中。特に2016年は.339の高打率を残した上に、178安打を放ち最多安打のタイトルも獲得。出塁率も.417をマークし、チームのクライマックスシリーズ進出に貢献した。今季、角中が再び首位打者争いをするぐらいの活躍を見せれば、ロッテ打線は活気づく。

角中勝也の成績,ⒸSPAIA

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長いプロ野球の歴史で首位打者を2回獲得した選手は多数いるが、3回以上となると11人のみ。張本勲、イチロー、長嶋茂雄、川上哲治、王貞治、落合博満らそうそうたる顔ぶれだ。ちなみに、現役選手で首位打者を2回獲得しているのは、角中以外に福留孝介、内川聖一、柳田悠岐の3人となる。

首位打者獲得ランキング,ⒸSPAIA

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直近2年は2割6分台と低迷しているが、調子が良い時はとんでもない悪球をヒットにしてしまうなど、手がつけられないほど打ちまくるのが角中という選手だ。3回目の首位打者を獲得することになれば、ヒットメーカーとしての球界での地位をさらに押し上げることになる。

三振しづらい打者

角中といえば、なかなか三振をしない打者というイメージを持つ方も多いだろう。相手投手にとっては始末が悪く厄介な打者だ。実際、セイバーメトリクスの指標「PA/K」(Plate Appearances per Strikeoutの略称)を見ると、リーグ7位につけている。「PA/K」とは、打席÷三振によって計算され、数値が高いほど三振しづらい打者であることを示す。

PA/Kランキング,ⒸSPAIA

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荻野貴司や中村奨吾のように足を使える選手。井上やレアード、バルガスのように一発を期待できる選手が並ぶであろうオーダーに角中が組み込まれれば、攻撃のバリエーションも増える。

ちなみに、昨季はシーズン前半に4番を打つことも多かったが、角中が4番に入らなくても良い打線が好ましい。2018年シーズンの角中は得点圏打率.267(2017年も.267)と振るわず、首位打者を獲得した2016年シーズンは.310だったものの、2015年シーズンは.278と、元々チャンスに強いタイプではない。角中はチャンスメイクできる打順が適任だ。

主力として優勝、日本一へ

角中は昨オフ、初めて取得した国内FA(フリーエージェント)権を行使せずに残留を決断。ロッテで主力として優勝、日本一を強く望んでいる選手のひとりだ。チームが下克上で日本一を達成した2010年も一軍の試合に出場しているが、わずか13試合。18打数0安打に終わっている。

2012年に打率.312でブレイクし、初の首位打者を獲得して以来、2013年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)のメンバーに選出されるなど、名実ともにロッテの主力として君臨してきたが、2013年、2015年、2016年のリーグ3位が最高。井口資仁監督を胴上げしたいという気持ちは強いはずだ。

平沢大河、安田尚憲、藤原恭大ら若手の成長が期待されているが、角中を筆頭とした中堅がより高いレベルの成績を残して牽引していかなければチームは浮上しない。そして、角中が入団時に福浦和也やサブロー、井口資仁らの「背中を見ていた」と言っていたように、平沢や安田、藤原も角中らの背中を見ている。

角中が、史上12人目となる3度目の首位打者を争うような活躍を見せた時、ロッテはパ・リーグの台風の目となっているはずだ。