「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

セを制す鍵は「ホットコーナー」? 各球団で正三塁手争いが激化

2019 3/5 11:00青木スラッガー
村上宗隆,大山悠輔,ⒸSPAIA
このエントリーをはてなブックマークに追加

ⒸSPAIA

セ・リーグ5球団で激化する正三塁手争い

右打者が引っ張った火の出るような当たりが襲うことから「ホットコーナー」と呼ばれる三塁手。今季のセ・リーグ各球団は、この三塁のポジション争いがまさにホットである。

現在のプロ野球界で「不動の三塁手」の座を確立し、今季もレギュラーが確約されている選手といえば、松田宣浩(ソフトバンク)、中村剛也(西武)、宮﨑敏郎(DeNA)の名が挙がる。セ・リーグに限ると、この2年で急成長した宮﨑のみとなっており、他5球団は開幕を迎えてみないとどうなるかわからない状況だ。

昨季も正三塁手不在だった広島は、ポジション争いに見どころが多い。昨季86試合で三塁の守備に就き、打撃でも結果を残した西川龍馬は外野に挑戦中。そのため、2017年に正三塁手として首位打者を争うほどの活躍をみせた安部友裕がレギュラー候補筆頭となる。他にも昨季ウエスタン・リーグ4冠を達成したメヒアや、出場機会を求めて三塁に再挑戦中の堂林翔太もいる。特に、堂林は退路を断つ覚悟でレギュラー獲りへ挑んでいる。

ヤクルトも昨季はシーズンを通した三塁手レギュラーが不在だった。ヘルニアから復帰した川端慎吾、遊撃手から三塁手へコンバートした大引啓次の併用が基本的な布陣。経験豊富で守備が良く、「計算が立つ」という意味ではこれ以上ない2人だろう。

ただ、今季は2人を差し置いて、高卒2年目の村上宗隆が一軍キャンプメンバーに選ばれた。実戦でも三塁手として好アピールを続けており、将来の4番候補が名のあるベテランからポジションを奪えるのか注目だ。

昨季は三塁手レギュラーがいた球団も……

昨季は三塁手が固まっていた巨人・中日・阪神も、今のところ内野の布陣がどうなるかは不透明だ。

巨人は128試合で三塁守備に就いたマギーが退団。4番・一塁手として大活躍した岡本和真の三塁構想から原監督の新チームはスタートした。若くして3割30本100打点を達成した岡本のスタメンを脅かす存在はいないだろうが、やはり懸念は守備だ。堅実に三塁手をこなせるのか、また守備の負担が増える中で昨季のような打撃を維持できるのか。チームの命運を左右するコンバート案になる。

中日は福田永将がプロ入りから初めて規定打席に到達。ブレイクした前年からやや打撃成績を落として苦しみながらも、シーズン最後まで正三塁手の座を守り抜いた。しかし、今季は内野全ポジションを守れる堂上直倫がキャンプから好調で、プロ13年目にして打撃開眼の構えを見せている。さらに、内野手候補にはゴールデンルーキーの根尾昂がいる。二塁手の高橋周平が堂上や根尾にはじき出される形で三塁手に戻ることも考えられ、昨季は安定していた内野陣に再び競争の気配が漂う。

阪神は昨季、大山悠輔が鳥谷敬との三塁手争いを制した。大山は一時、打撃不振で鳥谷にポジションを奪われたが、終盤には復活してスタメンを取り戻した。だが、この春は再び不振に陥っている。怪我から復帰する上本博紀、新外国人のマルテ、キャンプから打撃好調のルーキー木浪聖也、昨季から打撃で伸びてきている陽川尚将と、阪神の内野手レギュラー候補は豊富。不振が長引くと、4番候補の大山といえど開幕スタメンを外れる可能性も否定できない。

こうして各球団の状況を見ると、三塁手には強打者を置きたい意向がうかがえる。同じ内野手でも二塁手・遊撃手ほど脚力やフットワークが必要ないため、打力を優先して起用したいのだろう。だが、「ホットコーナー」を任せる以上、あまり悪い守備に目をつむることもできないため、打てて守れる三塁手の存在は貴重だ。競争中のセ・リーグ5球団は、そういった攻守を兼ね備えた正三塁手を確立していけるだろうか。