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先発平均投球回ワーストのDeNA 井納、上茶谷は救世主となれるか

2019 3/4 07:00青木スラッガー
上茶谷大河,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

過熱する先発ローテーション争い

ラミレス監督が就任4年目を迎えるDeNAは先発ローテーション争いが過熱している。

2018年シーズンの15先発以上は東克樹、石田健大、濵口遥大、今永昇太の左腕4人。12先発の京山将弥、9先発の飯塚悟史、一軍未登板だが秋に侍ジャパンU-23代表として好投した阪口皓亮といった若手右腕もローテ定着を狙う。ルーキーの上茶谷大河、大貫晋一もキャンプインから好調だ。秋に肘を手術した井納翔一も順調に調整を進め、10人ほどの候補が6つの枠をめぐって争っている。

昨季のDeNAは、先発投手陣に課題を抱えた。前年は日本シリーズ進出の立役者となった今永、濵口、ウィーランドの10勝トリオが揃って本来の力を発揮できず。エース格だった今永の防御率6点台後半にまで達する不振は影響が大きく、シーズンを通して安定した試合運びをすることができなかった。

今季は復帰する三浦大輔一軍投手コーチのもと、ローテーションの立て直しに期待したいところだが、少し踏み込んでスタッツを振り返ると、特に改善を図りたいのは投球回数の短さである。

昨季は平均投球回が12球団ワーストだった

以下は昨季、12球団の先発投手が1試合平均でどれだけの投球回を稼いだのかを算出したランキングである。

先発平均投球回表,ⒸSPAIA

※データスタジアム調べ


DeNAは平均5.28回で12球団最下位だった。指名打者制のパ・リーグ球団とは単純に比べられないものの、トップは6.18回でセ・リーグの巨人だ。中日、広島、阪神との差も大きく、悪い方に突出してしまっている。

投手一人ひとりの数字を見ると、100投球回に達したのは東1人で、その人数は12球団最少。10先発以上で、1試合あたりの平均投球回が6回を超えたのも東1人だった。

DeNA平均投球回表,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA


そういう投手事情でも終盤までCS進出争いから脱落しなかったのは、枚数、質ともに12球団屈指の力を誇るリリーフ陣の働きが大きいだろう。しかし6回からの継投が当たり前となれば、やはりリリーフの負担はかさむ。DeNAのリリーフ陣は前年からフル回転が続いている。今季もこういう状況になってしまうと、怪我やパフォーマンス低下が懸念される。

チームの長所である優秀なリリーフ陣をより活かすためにも、今季は投球回数を稼げる「イニングイーター」の登場が不可欠だ。

井納、上茶谷の両右腕にかかる期待

イニングを稼げる投手として、先発陣のキーマンとなりそうなのは7年目を迎える右腕の井納だ。昨季の井納は、過去3年間で18勝29敗と貯金をもたらせていなかった事情もあり、開幕直前でセットアッパーに配置転換。しかしリリーフとしては結果を残せず、二軍調整を経て7月から先発へ復帰した。

今季はそのまま先発として調整を進め、開幕ローテ入りを争う。昨季は先発復帰後、7先発で4勝を挙げ、平均投球回はチームで東に次ぐ6.19を記録した。過去の先発を務めたシーズンも安定して平均6投球回以上を投げてきており、イニングイーターとしての実績がある。

もうひとり大きな期待がかかっているのがドラ1右腕の上茶谷。4年時(春・秋)は東都1部リーグで129.2回を投げ、与四球率2.15、奪三振率9.58を記録。抜群の制球力と三振を奪う能力を持ち合わせ、しっかりイニングを稼いでいけるタイプだろう。キャンプインから実戦登板は2月26日まで2登板で計4回無失点と上々の滑り出しだが、これからイニングを伸ばしていく中でどういった投球を見せるのか注目になる。

もちろん、東の継続的な活躍、今永、濱口の復活がAクラス浮上には大前提となるが、彼ら左腕がローテーションの中心であるチーム事情からしても、両右腕の重要性は高い。

昨季の開幕ローテにはいなかった井納と上茶谷。12球団で最もマウンドを降りるのが早かった先発投手陣の救世主となることができるだろうか。