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実績者がズラリ!昨季のオープン戦は誰が結果を出した?〜投手編〜

2019 3/2 07:00勝田聡
野球ボール,ⒸShutterstock.com
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床田寛樹、坂本工宜らがアピール成功

2月23日から沖縄で始まったオープン戦。ここからの約1ヶ月間で開幕ローテーション、勝利の方程式といった主軸になるべく、多くの投手たちがアピールを行う。

まだ数試合の開催だが、その中で好投を見せた若手投手がいる。そのひとりが高卒3年目の左腕、巨人の大江竜聖だ。2月24日、オープン戦初登板の日本ハム戦では、1回無失点で初セーブをマーク。春季キャンプでは、練習試合などを含めた実戦で無失点投球を続けており注目の存在。

同じく巨人の坂本工宜もおもしろい。育成契約ながら一軍に帯同を続けており、紅白戦に続きオープン戦でも1.1回を無失点、2奪三振とアピール。開幕前の支配下契約も現実味を帯びてきた。

その他にも森雄大(楽天)が3回1失点、床田寛樹(広島)が3回無失点と結果を残し、それぞれ開幕ローテーション入りに名乗りをあげている。

もちろん、若手投手たちは1試合の好投で開幕一軍が確約されるわけではない。この投球を続けることで、一軍切符を手にすることができる。まさにここからの1ヶ月間が勝負となる。

今から昨年のオープン戦で、どのような投手が好投を見せていたのか振り返ってみたい。

オープン戦、シーズンと好投するには実績が必要?

昨年のオープン戦、防御率ランキング上位を見ると、エース級もしくは既に実績のある投手の名前がずらりと並んでいる。

防御率トップに輝いたのは西勇輝(オリックス)。4試合で18.1回を投げ自責点はわずかに「1」。圧倒的な結果を残し、自身初となる開幕投手に選ばれた。だが、開幕戦8回途中2失点で降板となり、敗戦投手になってしまう。その後も勝ち星に恵まれず3連敗スタート。その後、徐々に盛り返し最終的には10勝13敗。負け越したものの、ローテーション投手として役割を全うしたと言える。

2位の加藤貴之(日本ハム)、3位の酒居知史(ロッテ)は共に年間で活躍したとはいえず苦しいシーズンを送った。4位の岸孝之(楽天)はシーズンで最優秀防御率に輝いており、年間を通じてハイパフォーマンスを見せている。

2018年オープン戦・防御率ランキング(規定以上)

ⒸSPAIA


昨年の投手には、オープン戦からシーズン最終まで結果を残すほどブレイクした選手が不在だった。ランキング上位10人の中では、実績面で劣っていた加藤、酒居のふたりがシーズンでは結果を残すことが出来なかったのである。

ちなみにシーズンで結果を残した他の投手を見ると、3試合(14回)で防御率1.29の菅野智之(巨人)だった。一方、大瀬良大地(広島)は3試合(13回)で防御率6.23、多和田真三郎(西武)は3試合(13.1回)で防御率10.13と打ち込まれている。

オープン戦の成績からシーズンを占うことはやはり難しい。

両リーグセーブ王はオープン戦でも好投

一方、規定投球回に到達することがない中継ぎ投手はどうだったのだろうか。セ・リーグの最多セーブとなった山崎康晃(DeNA)は4試合(4回)で防御率0.00。パ・リーグの最多セーブである森唯斗(ソフトバンク)は6試合(6.2回)で防御率1.35。

セ2位の石山泰稚(ヤクルト)も7試合(6.1回)で防御率1.42、パ2位の増井浩俊(オリックス)は7試合(7回)で防御率1.29と先発投手に比べて投球回数は少ないものの、確実に結果を残していた。

シーズン途中からの転向含め、クローザーを任されるような投手たちはオープン戦でも好投を見せていたことがわかる。

2018年オープン戦・防御率ランキング(主な中継ぎ)

ⒸSPAIA


昨年の先発投手はオープン戦で好投しても、これまでの実績がないとシーズンでの活躍に結びつきがなかった。しかし、実績がない若手はオープン戦で結果を残さなければ、シーズン序盤から起用されないというジレンマがある。また、エース級の投手はオープン戦の結果にかかわらず、シーズンで好成績を残している。一方、守護神として多くのセーブを挙げるような投手たちは、オープン戦と同様にシーズンでも好投を見せていた。

今年は昨年不在だったオープン戦、シーズン共に好投を続ける先発若手投手が出現するだろうか。若手投手たちの投球に注目したい。