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ブレイクした岡本和真の成績は? 昨季のオープン戦は誰が結果を出したのか?〜野手編〜

2019 3/2 15:00勝田聡
岡本和真,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

ドラ1・辰己、ベテラン・福留と世代関係なく1発を

オープン戦が始まり、まだ数試合が終わっただけとはいえ、一層活気づいてきたプロ野球界に話題は尽きない。楽天ドラフト1位の辰己涼介が本塁打を放てば、ベテランの福留孝介(阪神)も若手に負けていられないとばかりの一発を見せた。ベテランも若手もおよそ1ヶ月後に迫った開幕へ向け、1試合1試合を必死に戦っている。

オープン戦の成績はシーズンとは関係なく、タイトルがあるわけでもない。だが、若手にとってはひとつの自信となり、飛躍のきっかけとなるはずだ。昨シーズンもオープン戦で、4本塁打と結果を残した岡本和真(巨人)が、シーズン終了後には日本代表に選出されるほどの選手へと成長した。

もし、オープン戦で結果を残すことができていなければ、日本代表どころかチームのレギュラーにも選ばれていなかった可能性もある。

オープン戦首位打者でもシーズンは別物

打撃成績を見ると、首位打者は内田靖人(楽天)だった。16試合で打率.386(44打数17安打)、4本塁打と大当たり。2013年ドラフト2位で入団した内田が、5年目のシーズンにして開花の兆しを見せたのだ。この活躍があり、開幕戦は「6番・一塁」としてスタメン出場を果たしている。

ところがシーズンに入ると勢いは続かず、3試合目にはスタメンを外れてしまう。5試合目にスタメンに戻ったが、程なくしてファーム降格となった。シーズン終盤に本塁打を量産し、トータルではキャリアハイとなる12本塁打を記録したが、年間を通じて活躍することはできなかった。

2018年オープン戦打撃ランキング(規定以上)

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2位につけたのは、打率.368(38打数14安打)を記録した鈴木大地(ロッテ)。シーズン中はこれほどの高打率を残すことはできていないものの、全試合に出場。その中で、打率.266(477打数127安打)と、例年通りの安定した成績を残している。

その他、目につくのは8位の宗佑磨(オリックス)だ。昨年のキャンプ中に遊撃から中堅へとコンバート。慣れない守備もあるなか、打率.306(49打数15安打)、4本塁打と結果を残し、開幕スタメンの座を勝ち取った。

だが、故障も影響し74試合の出場に留まった。シーズンでは打率.233(266打数62安打)、5本塁打とオープン戦のような活躍を見せることはできなかった。既に実績を残している選手は別として、若手がオープン戦で結果を残してもシーズンでは奮わない。先ほど挙げた岡本がすばらしかっただけで、こういった事例は決して珍しくない。

山川穂高は打率1割台からMVPへ

シーズンで好成績を残した選手たちは、オープン戦でどのような成績だったのだろう。両リーグMVPの選手から見ていきたい。セ・リーグMVPに輝いた丸佳浩(現・巨人)は規定打席にこそ届いていないが、打率.353(34打数12安打)、1本塁打とさすがの成績を見せていた。

2018年オープン戦・主な選手の打撃成績

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一方、打率.136(59打数8安打)、2本塁打と絶不調だったのがパ・リーグMVP山川穂高(西武)である。しかし、辻発彦監督からの信頼は変わらず、開幕戦では「4番・一塁」でスタメン出場。シーズンでの活躍はいまさら語るほどでもないが、常に4番としてチームを引っ張ったのである。

他の選手では、柳田悠岐(ソフトバンク)が打率.324(37打数、12安打)、0本塁打。山田哲人(ヤクルト)は打率.256(39打数10安打)、4本塁打の成績を残していた。極端に悪かった山川とは反対に、丸と柳田はシーズンと変わらぬ打撃を見せており、山田は若干不調だった。といったところだろうか。

このように若手選手はもちろん、日本を代表する一流の選手でもオープン戦の成績からシーズンを占うのは難しい。ただ、確固たる主力選手以外はオープン戦で結果を残せなければ、シーズンで試合に出場することすらできない。オープン戦は調整の場ではなく、やはり勝負の場なのだ。

昨シーズンの岡本のようにオープン戦からシーズン終了まで活躍し続けてこそ、その成果が次にあらわれる。新たなスター誕生が待ち遠しい。