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島内、田中、辰己、オコエ 楽天は若手外野陣で最下位脱出へ

2019 3/3 15:00勝田聡
田中和基,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

オフに大型補強を敢行

昨シーズンの楽天は開幕から苦しみ、6月半ばには梨田昌孝監督が責任をとって辞任。平石洋介ヘッドコーチ(当時)が監督代行となり、残りのシーズンを戦ったが、劇的にチームが変わることはなく、シーズンを最下位で終えている。

シーズン終盤に石井一久氏がゼネラルマネージャーに就任したこともあり、このオフにチームは大きく変わった。正式に平石監督体制としてチームを発足させると、大型補強を敢行。西武からFA宣言した浅村栄斗に始まり、新外国人選手としてジャバリ・ブラッシュ、アラン・ブセニッツを次々と獲得した。キャンプが始まってからも育成契約ではあるが、ルイス・ヒメネスを獲得している。

生まれ変わりつつある楽天は、オープン戦2連勝と好発進。公式戦ではないが、勝利に飢えていたチームにとって幸先の良いスタートとなったことは間違いないだろう。

オープン戦から火花散らす外野レギュラー争い

エースである則本昂大が先発予定と報じられていたオープン戦初戦は、アクシデントから始まった。この試合は巨人の菅野智之との投げ合いに大きな注目が集まっていたのだが、当日になって則本が首の寝違えにより先発回避。急遽、代役として森雄大が登板することになった。

その森は3回1失点とまずまずの投球。先発ローテーション入りへ向け一歩前進した。打線に目を向けると、ブラッシュが初打席で菅野から1発。独特なフォームから力強い打球で結果を残した。

また、昨シーズンの新人王である田中和基が「今年もやるぞ」と言わんばかりの1発を放てば、同じく外野の島内宏明は2安打マルチ。新人捕手の太田光も2安打を放つなど、多くの選手がアピールを行った。

2戦目にはドラ1ルーキーの辰己涼介、高卒4年目となるオコエ瑠偉、そして田中に1発が飛び出し、島内も前日に引き続いての2安打。外野のレギュラーを争う4人が揃って結果を出した。

若手の力で台風の目に!

このオフの楽天は浅村の加入で、内野のポジション移動に注目が集まっていた。浅村の二塁を除く一塁、三塁、遊撃は全て競争。二塁でゴールデングラブ賞を受賞しているベテランの藤田一也も遊撃の練習を行うほどだ。

しかし、オープン戦が始まった今は外野争いに話題が移っている。安定度に勝る島内、日本代表にも選出されている田中、ドラ1の辰己、そしてオコエと4人がしのぎを削っているのだ。

今シーズンの年齢を見ると、この中では島内の29歳が最年長となる。それに続く田中は25歳、辰己が23歳、オコエは22歳と全員が20代とフレッシュな顔ぶれ。パワーヒッターこそ不在だが、全員が2桁本塁打、2桁盗塁を実現可能なポテンシャルを秘めている。この4人が揃って結果を出していることは、平石監督にとっても嬉しい悩みと言えるだろう。

レギュラーを完全に固定するのか、併用しながら起用していくのか、現時点ではわからない。しかし、シーズンは約半年間と長い。疲労が溜まることもあれば、アクシデントによる故障もある。4人をうまく共存させることで、そのリスクを分散することも可能だろう。むしろ、その起用法が上位浮上の鍵となる。

「二塁・浅村」というチームの柱ができ、エース格の則本、岸孝之と2枚看板も健在。大砲候補のブラッシュも「1発回答」、さらにフレッシュな外野陣が競争を繰り広げている。とはいえ、昨シーズンは最下位だったチーム。まだまだ課題は多い。平石監督は若く、監督としての経験が不足しているとの声があるのも事実だが、着実に戦力は整いつつある。

リーグは違うが、ヤクルトは2017年、96敗で圧倒的な最下位だったにもかかわらず、昨シーズンは2位に躍進した。その原動力は様々だが、青木宣親や近藤一樹といったベテランの活躍を抜きには語れない。また外野陣は主力全員が30代を超えていた。

「ベテランの力」で上位進出を成し遂げたヤクルト。対する楽天は「若手の力」で台風の目を目指す。