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ロッテ・平沢大河、4年目の覚醒なるか 「平安藤原時代」の幕開けへ

2019 3/1 11:00浜田哲男
平沢大河
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ⒸYoshihiro KOIKE

昨季は112試合に出場

今季でプロ入り4年目を迎える平沢大河。ロッテファンがその成長を最も期待している選手と言っても過言ではない。その資質に大きな期待を寄せる井口資仁監督は昨季、平沢をプロ入り最多となる112試合に出場させた。

平沢大河年度別成績

ⒸSPAIA


本職は遊撃手だが、昨季同ポジションに抜擢されたのはルーキーの藤岡裕大。平沢は主に右翼手として起用された。1年目が23試合、2年目が50試合、そして3年目が112試合。攻守で様々な経験を積みながら、平沢は着実にステップアップしている。

非凡なセンスで右翼手として好守を連発

まだ荒削りな部分はありながらも、打撃も守備も非凡なセンスをもつ平沢。右翼の守備は試合を重ねるごとにフィットし、好守を連発した。

昨季終盤の楽天生命パーク宮城で行われた楽天戦、右中間を真っ二つに割ろうかという打球をドンピシャのタイミングで捕球したダイビングキャッチは、チームをサヨナラ負けの危機から救うビッグプレーだった。同時にそれは非凡な野球センスを見せつけられた瞬間でもあった。

打球判断も良く、肩も強い。本人は遊撃のレギュラーを希望しているかもしれないが、外野手としても十分にレギュラーでやっていけるのではないかと思わせるプレーを見せている。また、犠打は8回試みて全て成功。盗塁は10回試みて8回成功と、守備以外でも与えられた仕事をそつなくこなしていた。

低打率ながらも出塁率は高い

打撃面では打率は.213に終わるも、出塁率が.328と打率よりも1割以上高い数字をマークした。昨季序盤は9番が定位置だったが、7月の西武戦でリードオフマン・荻野貴司が指を骨折して離脱して以降は、高い出塁率を買われて1番や2番を打つことが多くなった。

際どい球を見極めたり、天性のバットコントロールの良さを活かしてファウルで粘るシーンも目立つなど、プロ入り1、2年目よりも期待の持てる打席が明らかに増えた。しかし、甘い直球を仕留めきれないシーンも目立ち、ミスショットが多かったのも事実。制球眼が向上し、打席での粘りも出てきた今、確実性が増せば覚醒する可能性を秘めている。

レギュラー争いが激化

昨季、荻野の離脱に伴ってチームは下降線をたどった。選手層の薄さを露呈した形になったが、今季は様相が違う。大砲候補としてバルガスと日本での実績十分のレアードを獲得。2年目の安田尚憲は、練習試合で早くもチームトップとなる3本目の本塁打を放つなど打撃が好調(2月27日現在)。虎視眈々と三塁のレギュラーを狙っている。

また、ドラフト1位の藤原恭大も中日との練習試合で3安打を放つなど、高卒ルーキーとは思えない適応能力の高さを見せつけている。三塁は鈴木大地とレアード、安田が争う形となり、レアードについては外野手として起用する構想もあることを井口監督が示唆している。

昨季は右翼手として多くの試合に先発出場した平沢だが、外野には角中勝也、荻野、清田育宏加藤翔平菅野剛士伊志嶺翔大岡大海、レアードらがひしめき、オープン戦で指揮官を納得させる結果を残さなければ外野のレギュラーを確保することは難しい。

それは内野も同様だ。昨季の正遊撃手・藤岡が怪我で出遅れているのもあり、練習試合では平沢が遊撃手として出場中だが、三塁にレアードが入った場合には、遊撃手としてゴールデングラブ賞を獲得した経験もある鈴木がライバルになる可能性もある。

覚醒の予感

昨季の経験が活かされているのか、安田や藤原らの存在が刺激となっているのか、平沢はここまで順調な調整ぶりを見せている。

キャンプ地の石垣島で2月9日に行われた台湾のラミゴとの練習試合では、第一打席の一振り目でバックスクリーンに飛び込むチーム第1号となる本塁打を放ち、14日の中日との練習試合でも右翼席にアーチを描いた。昨季までミスショットが目立った甘い球をことごとくとらえており、覚醒を予感させる。

ロッテファンは、平沢、安田、藤原といったドラフト1位の高卒野手に大きな夢を描き、願いを込めて「平安藤原時代」と呼ぶ。少し前までは社会人・大卒といった即戦力の投手・野手をドラフトで指名する傾向があったが、2015年のドラフトで平沢を1位指名したことを皮切りとし、2017年の安田、2018年の藤原と高卒の逸材を引き当ててきた。

平沢は3選手の中では、いわば長男。いずれ何年も続くであろう平安藤原時代が幕を開けるか否かは、平沢の覚醒にかかっている。