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2019年西武のキーマンは今井達也 菊池雄星の穴を埋められるか

2019 2/14 07:00SPAIA編集部
野球ボール,ⒸSPAIA
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今井が菊池より上回っているもの

2018年パ・リーグを圧倒的な打撃力で制した埼玉西武ライオンズ。オフシーズンには、不動の3番セカンドであった浅村栄斗やエース菊池雄星が他チームに移籍し、戦力ダウンが懸念されている。

特に、エースとして君臨した菊池雄星が抜けた先発投手陣の再編は急務であり、誰が穴を埋めるのか注目されている。今回は、その穴埋めを期待される投手を紹介する。その投手は今井達也である。今井は2016年のドラフト1位右腕で、2018年途中から1軍に上がり、15試合を投げて、5勝5敗、防御率4.81という成績だった。

1軍投手としては少し物足りない成績ではあるが、1軍で白星を挙げたこと、リーグ優勝に貢献できたことは本人の大きな自信となり、財産になったはずだ。そんな今井の特筆すべき点は2つある。

まず1つ目がチェンジアップとカーブである。

今井の球種別成績,ⒸSPAIA

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上の表は2018シーズンの今井の球種別投球割合だ。まず注目すべきはチェンジアップの空振り率である。今井はチェンジアップで、21.39%という高い確率で空振りを取れるのである。ちなみに、菊池の球種の中で空振り率が一番高いのも同じチェンジアップだが、16.92%とチェンジアップでの空振りに関しては今井に軍配が上がる。

次に注目すべきなのが、カーブである。昨シーズンの今井は、全投球の10%程度しかカーブを投げていない。だが、1本のヒットも許さず(18打数0安打)、20%を超える見逃し率を誇っていた。菊池の24.54%に比べて下回るものの、見逃しでストライクが取れる有効な球であることが分かる。

さらに、今井には最速153kmのストレートがある。この速球に加え、緩い変化球をうまく使うことを覚えれば、2019年は飛躍の年になるだろう。

今井の得点圏被打率の低さ

2つ目のポイントは得点圏での被打率の低さである。こちらの表を御覧いただきたい。

両投手の得点圏での成績比較,ⒸSPAIA

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これは、菊池と今井の得点圏に相手走者がいる場合の成績である。見て分かるように、被打率が2割を切り、2塁打、3塁打は驚きの0である。ピンチの場面では菊池より強いことがうかがえる。 と、言いたいところだが、本塁打を7本打たれており、得点圏被長打率も.427と菊池よりも上回ってしまっている。 得点圏での心臓の強さはうかがえる。しかし、信頼を得るためにはここぞの場面での一発は回避しなければならず、エースになるための課題だ。

被本塁打と与四死球を減らして獅子のエースへ

ここまで、主に今井の強みを見てきたが、ここからは今井の克服すべき課題を中心に見ていく。 こちらの表を御覧いただきたい。

両投手の成績比較,ⒸSPAIA

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上記の表は、今井と菊池の左右打者別の対戦成績である。対戦数と被安打を割った被打率では、菊池が.190、今井が.214となり、そこまでの変化は見られない。 さらに、左右の対戦によって特筆すべき変化はなく、極端にどちらかを苦手としている投手ではないのである。

ただ、今井の課題は、与四死球と被本塁打の率の多さである。 まず、与四死球の多さだが、対戦数と与四死球の数から与四死球割合を出してみた。すると、菊池が約7.5%、今井が約11.9%となる。約4%、今井が相手打者を四死球によって塁に出してしまっていることとなる。先程、ピンチに強いことを記載はしたが、ピンチは無いに越したことはない、球数などを考えても余計なランナーは出さない方がいい。

次に、被本塁打率を割り出してみた。 すると、菊池の0.880に対し、今井は1.258となる。この数値は9イニング投げたとして本塁打を何本打たれるかを計算したもので、数値が高いほど本塁打を打たれる可能性が高いことを示す。 今井は菊池よりもこの数値が0.4近く高い。それだけ今井が本塁打を打たれてしまっているということを表す。得点圏に走者を背負っての成績でもそうだが、菊池の穴を埋めるためには確実に失点する被本塁打の多さは致命的だ。 今井には高いポテンシャルがあることは間違いないが、飛躍するためには被本塁打と与四死球が大きな課題と言えそうだ。