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菅野以外は大混戦? 開幕投手を巡る争い〜セ・リーグ編〜

2019 2/7 07:00勝田聡
菅野智之,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

ヤクルトはブキャナンか小川か?

2月1日に春季キャンプが始まった。各選手とも一軍はもちろん、レギュラーやローテーション、勝利の方程式入りを目指し厳しいサバイバルを繰り広げることになる。

そのサバイバルのなかには、もちろん開幕投手も含まれている。開幕戦は143試合分の1試合であり、勝敗の数字的な価値はその他の試合と変わらない。しかし、1年の始まりということもあり、エースやそれに準ずる投手が任される場合がほとんど。各球団は最初の一歩をエースで勝ち、長いシーズンへ向けて弾みをつけたいのだろう。

その大事な開幕戦の先発投手である開幕投手の候補は誰がいるのだろうか。まずはセ・リーグの6球団を見ていきたい。

昨年、リーグ3連覇を飾った広島は最多勝投手の大瀬良大地が最有力だ。2年連続で2桁勝利をマークしており、緒方孝市監督の信頼も厚い。昨年は野村祐輔、一昨年はクリス・ジョンソンが務めており、大瀬良にとっては初の大役となる。真っ赤に染まることが確実なマツダスタジアムで、幸先良い白星をあげたいところ。その他の候補にはジョンソン(11勝)、九里亜蓮(8勝)、岡田明丈(8勝)らがいるものの、疑いの余地はなさそうだ。

2位のヤクルトは激戦だ。小川淳司監督ら首脳陣は開幕投手を明言しておらず、ベールに包まれている。有力候補は昨年チーム唯一の2桁勝利となったデービッド・ブキャナンだ。昨年も大役を任されており、2年連続となれば1996年・97年のテリー・ブロス以来、球団にとって22年ぶりに2年連続外国人投手による開幕投手となる。もちろん小川泰弘も候補のひとりだ。2014年から16年まで3年連続で開幕投手を務めており、実績は十分。このオフに代名詞であった「ライアン投法」からフォームを変更し、「ニュー小川」となったその姿を開幕戦で見せることができるだろうか。

DeNAは東の離脱で本命不在

巨人は絶対的エースの菅野智之がすでに5度目の開幕投手に指名されている。2年連続沢村賞を受賞しており、昨年のクライマックス・シリーズではヤクルト相手にノーヒットノーランを達成。日本のエースと言っても過言ではない菅野が、原辰徳監督3度目の船出を勝利で飾るつもりだ。

このオフに大きな補強のなかったDeNAの開幕投手争いは激戦となりそうだ。大本命だった昨年の新人王・東克樹が左肘の違和感で二軍スタートとなってしまったのである。

その他の投手を見渡すと今永昇太、石田健大、濵口遥大、井納翔一らが候補となる。今永(4勝11敗)、石田(3勝7敗)、濵口(4勝5敗)の左腕トリオはいずれも昨年負け越しており、勝ち越したのは井納(6勝3敗)ただひとり。昨年の結果だけを見れば井納だが、アレックス・ラミレス監督はどのように考えるだろうか。これまでにも奇襲をしかけることがあり、「あっ」と驚く起用があってもおかしくない。

中日も候補としては笠原祥太郎や小笠原慎之介、吉見一起、松坂大輔らの名前があがるものの全員が決め手にかける。小笠原は故障明けということもあり未知数。吉見、松坂は開幕戦が行なわれる横浜スタジアムより、屋内のナゴヤドームで登板させたいはず。そう考えると日米野球で日本代表入りも果たした笠原が有力となりそうだ。

最下位に沈んだ阪神には候補者が3人いる。このオフに加入した西勇輝(前・オリックス)、オネルキ・ガルシア(前・中日)、そして日本人選手扱いとなったランディ・メッセンジャーだ。3人とも昨年は2桁勝利をマークしており、実績は十分。矢野燿大新監督も明言しておらず、現時点で明らかになっていない。

だが大本命は5年連続6度目の大役となるメッセンジャーだろう。今年で38歳になるベテランだが、まだまだエースとしてチームを引っ張って行く気持ちは負けていない。新加入の選手たちに意地を見せることができるだろうか。

1年の始まりとなる開幕投手は誰の手に渡るのだろうか。キャンプ、オープン戦の約2ヶ月間、チーム内の争いにも目を向けていきたい。

※数字は2018年シーズン終了時点