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西武・多和田、日本ハム・上沢はエースの地位築けるか パ・6球団のエース事情

2019 1/31 07:00青木スラッガー
パ投手表,ⒸSPAIA
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ソフトバンクの開幕投手は千賀か、東浜か

菊池雄星が今季から活躍の場を大リーグに移す。菊池といえばこの3年間の西武の勝ち頭であり、昨季までのパ・リーグを代表する「エース」。その存在が抜けることになり、現在のパ・リーグはどのような投手がチームの中心となっているか、6球団のエース事情をみていきたい。

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まずは日本シリーズ連覇を成し遂げたソフトバンク。昨季は故障者が多く、規定投球回到達者がゼロとリリーフに頼るシーズンとなったが、先発陣の名前は豪華だ。和田毅、東浜巨、武田翔太、千賀滉大、バンデンハークとエース級投手の名が複数あがる。

それぞれ近年に15勝近くの実績がある中、3年スパンで最も勝っているのは38勝の千賀だ。昨季も先発投手として最多の13勝。日本シリーズでも第1戦の先発を任され、エースの立場を固めつつある。ただ、昨季は途中離脱があって規定投球回未達の7勝に終わった東浜も、8月の復帰後は6勝0敗と安定感抜群で、良い形でシーズンを締めくくった。今季はどちらが開幕投手に選ばれるのか、オープン戦から勝負となる。

多和田、上沢は「新エース」定着なるか

ソフトバンクはエースの座をかけて複数投手が争うような形となっているが、チーム内に同格のエースが両立しているのは楽天だ。西武でエースを張った岸孝之が2017年から加わり、則本昂大とのダブルエース体制。昨季は最下位だったが、CSに進めば高確率で2勝を望める体制は他球団にとって脅威だろう。

リーグ王者の西武は、前述のように3年で42勝をあげた絶対的エース菊池が退団。昨季の開幕時点で菊池のメジャー挑戦は決定的だった状況から、3年目の多和田真三郎が大躍進したことは非常に大きい。昨季は自身初の規定投球回到達で16勝。今後も活躍を続け、菊池の後のエースを継ぐことができるか注目だ。

日本ハムは今のところ「絶対的エース」といえる存在がいない。3年間のチーム最多勝利は有原航平だが、防御率は4点台。昨季は防御率4.55で2桁勝利に届かず、復調のきっかけをつかむため、一時はクローザーにも回った。そこで勝ち頭となったのが昨季7年目の上沢直之だ。11勝をあげるブレークで、今季は新エースとして、前述の多和田同様に期待のかかるシーズンとなる。

西・金子退団のオリックス、エースはどうなる

ロッテは新外国人のボルシンガーが13勝をあげ、勝ち星が伸び悩んだ先発陣の救世主となった。今季もロッテでプレーすることが決まり、阪神・メッセンジャーのような外国人エースとなっていけるだろうか。

一方で日本人投手の奮起にも期待を寄せたい。2014年のプロ入りから3年連続2桁勝利をあげた石川歩、同年に西武からFA加入し、2015年は15勝で最多勝に輝いた涌井秀章。一時期はダブルエースの活躍だったが、この2年は両投手とも2桁勝利に届かなかった。涌井は今季から志願して背番号をエースナンバーの「18」(昨季まで「16」)に変更し、心機一転を図る。

厳しい先発投手事情が予想されるのはオリックスだ。このオフは金子千尋、西勇輝の新旧エースが同時に退団。昨季で3年連続となったBクラス脱出へ、新エース確立が今季の鍵となる。

昨季の西に次ぐ先発投手は、19先発で9勝2敗・防御率3.08の成績を残した来日1年目のアルバース。シーズン中に2020年シーズンまで契約を延長できたことは大きい。プロ入りから2年続けて規定投球回をクリアし、計15勝をあげている山岡泰輔も有力なエース候補となる。

大化けに期待したくなるのは、今季が高卒3年目の山本由伸だ。今季はセットアッパーから先発に転向予定。リリーフエースとしての鮮烈な活躍を経て、先発でもエースとして輝くことができるだろうか。