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菅野、メッセンジャーが「不動」の存在 セ・6球団のエース事情

2019 1/30 11:00青木スラッガー
菅野智之,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

「不動のエース」に君臨する菅野とメッセンジャー

キャンプインを控え、2019年シーズン開幕に向けて野球ファンの熱も高まってきている。この時期に、よく話題になるのが「大事なシーズンの初戦を任される開幕投手の行方」だ。開幕投手とは、監督が「この投手を中心に今年は戦う」と決めたエースのこと。どんな投手の名前が挙がるのか、2018年シーズンの成績からセ・リーグ6球団のエース事情をみていきたい。

2018年セ・リーグ6球団チーム内防御率トップ

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ここ数年、「不動のエース」に君臨している投手が順当に結果を残せた巨人と阪神。特に圧巻だったのは、最多勝(15勝)、最優秀防御率(2.14)、最多奪三振(200)の投手三冠を成し遂げ、2年連続の沢村賞に選出された巨人の菅野智之。CSではポストシーズン史上初のノーヒットノーランという快挙で、自身最多の10完投と8完封も記録。「球界のエース」として他の追随を許さない存在になった。

阪神を3年スパンでみると、メッセンジャーがセ・リーグで菅野の次にエースとして安定した活躍をみせている。岩貞祐太、秋山拓巳、藤浪晋太郎と、実績がありエースとしてのポテンシャルも申し分ない先発投手が複数いる阪神だが、3年続けて2桁勝利を達成したのはメッセンジャーだけだ。9年目の今季からは日本人選手扱いとなり、さらに貢献度は上がるだろう。

広島とDeNAは「新エース」登場の期待

「新エース」の登場を予感させるシーズンとなった広島とDeNA。広島は、大瀬良大地がキャリアハイの15勝と防御率2.62を記録。開幕は野村祐輔、ジョンソンに次ぐローテーション3番手としてスタートしたが、最終的にはCSと日本シリーズの1戦目を任され、実質的にエースの扱いだった。

この3年間、圧倒的な戦力でセ・リーグを3連覇した広島だが、2016年は野村16勝・ジョンソン15勝、2017年は薮田和樹15勝と、先発の勝ち頭が毎年異なっている。そんな中、2017年の10勝に続き、2年連続2桁勝利を達成したチームでただひとりの投手が大瀬良だ。このまま、前田健太以来の「不動のエース」へ上り詰めることが期待される。

DeNAは東克樹が11勝、リーグ2位の防御率2.45の好成績で新人王に選出された。昨季のDeNAでエース扱いだった今永昇太が防御率6点台。ウィーランドなど他の先発陣も不振に陥った中、ルーキー左腕が孤軍奮闘の活躍をみせた。広島の大瀬良とともに今季も活躍を継続し、新エースに定着できるか注目だ。

中日のエース投手の行方は……

昨季ヤクルトの先発1番手は、開幕投手も務めたブキャナン。チームで唯一規定投球回に届き、10勝を挙げて先発ローテーションを支えた。しかし、防御率は4点台に達して11敗も喫し、貯金をつくることはできず。貢献度はチーム内1番だったが、エースと呼ぶには少し安定感が足りなかった。

ヤクルトのエースといえば本来ならば小川泰弘だが、この3年は2桁勝利に届いていない。オフに手術を受け、迎えた昨季は5月半ばの登場から18登板で防御率2.75と復活。今季はシーズンを通してローテーションを守り、4年ぶりの2桁勝利となるだろうか。

現状はエースの見通しが立たず、先発投手に不安を抱える中日。昨季チームトップの13勝を挙げたガルシアが阪神に流出。3年スパンのチーム最多勝は16勝の又吉克樹と、リリーフ投手の名前が挙がること自体、近年の苦しい先発投手事情を物語っている。

昨季の勝利数で、ガルシアに次ぐのは松坂大輔と笠原祥太郎の6勝で、5勝には吉見一起、小笠原慎之介が続く。Bクラス脱出の鍵となるのは、ここにも入ってこられなかった大野雄大だろう。3年目の2013年から3年連続2桁勝利を挙げてエースとして活躍したが、昨季はわずか6先発で0勝。今季こそ、チームを救うべく復活を果たせるだろうか。