背番号はかつてと同じ「53」
昨年までソフトバンクでプレーしていた五十嵐亮太が、今季ヤクルトへ復帰することが決まった。背番号もかつてと同じ「53」と発表された。
五十嵐は、1997年ドラフト2位で敬愛学園高からヤクルトに入団。2009年まで150キロを超えるストレートを武器に中継ぎや抑えとしてプレーし、2004年には最優秀救援投手のタイトルを獲得。同じ剛速球投手の石井弘寿(現・投手コーチ)とのコンビは「ロケットボーイズ」と呼ばれ、ファンから親しまれた。
2010年からは活躍の場をMLBに移し、2012年までの3年間で83試合に登板。日本復帰後はソフトバンクに入団し、そこでもヤクルト、メジャー時代と同じように中継ぎの柱として常勝チームを支えてきた。
昨年も23試合に登板し、防御率4.50とまずまずの成績を残したものの、日本シリーズ終了の翌日に戦力外通告を受けて退団。その後、古巣であるヤクルトへ復帰することとなった。ヤクルトでも中継ぎとしての活躍が期待されている。
移籍組が活躍しやすいヤクルト
昨年の五十嵐はソフトバンク移籍後最少となる23試合の登板に終わり、防御率も同じく移籍後ワーストの4.50と苦しんだ。39歳と選手としては高齢ということもあり、戦力外となった。
確かに、全盛期のように150キロを超えるストレートを投げ込むことは難しいかもしれない。だが、新しく代名詞になった「ナックルカーブ」をはじめ、変化球を使いながらベテランらしい投球ができるようになった。日米通算860試合(NPB:777試合、MLB:83試合)に登板してきた実績と経験も駆使して、ヤクルトで復活を目指すことになる。
そんな五十嵐にとって、移籍組の活躍が多いことは心強いだろう。中継ぎ陣では近藤一樹が2016年途中にオリックスから加入し、セットアッパーに定着。昨年は自身初となる最優秀中継ぎのタイトルを獲得した。
野手では坂口智隆がオリックスを自由契約となった2015年オフに加入。3年連続で規定打席に到達し、昨年は打率3割を超えた。そして、昨年メジャーから復帰した青木宣親が打率.327(495打数162安打)と、以前と変わらぬ打撃を見せている。
他にも田代将太郎(元・西武)は控えとして守備固め、代走で存在感を発揮し、井野卓(元・巨人)も2番手捕手としてチームを支えてきた。すでに退団しているが大松尚逸(元・ロッテ)、鵜久森淳志(元・日本ハム)、今浪隆博(元・日本ハム)といった移籍組も、近年それぞれの役割で力を発揮。五十嵐もこの流れに乗っていきたいところだ。
精神的支柱としての役割
五十嵐には成績面ではもちろん、精神的な支柱としての役割にも期待がかかる。それこそ昨年、チームを鼓舞した青木と同じような役割ができる選手である。
メジャーリーグと常勝軍団ソフトバンクの「勝利の方程式」で得た経験を若手選手らに伝え、背中で引っ張っていく。そのような働きができれば、今まで以上にチームはまとまるだろう。
数年前、広島は新井貴浩と黒田博樹の二人が精神的支柱となり、3連覇を果たすまでに成長した。ヤクルトでも青木や五十嵐がその役割を担い、上昇気流に乗ることは決して不可能ではないはず。復帰1年目の今年、五十嵐がどのような振る舞いを見せ、成績を収めるのか楽しみだ。
※数字は2018年シーズン終了時点