阪神・楽天の「課題」と「新戦力」
まずまずの戦いでAクラスに入った2017年から一転、昨季は最下位に沈んだ阪神と楽天。監督も退任して残念なシーズンとなったが、大型補強を断行した今季の下馬評は高い。
両球団とも豪華かつポイントを捉えた適格な補強をしたと言える。その効果で今季は巻き返しとなるか、昨季の「課題」を振り返りつつ「新戦力」を確認しておきたい。即戦力として期待できる選手に注目するため、ドラフト入団の高校生は避けてオフにどのような補強があったのか見ていく。
まずまずの戦いでAクラスに入った2017年から一転、昨季は最下位に沈んだ阪神と楽天。監督も退任して残念なシーズンとなったが、大型補強を断行した今季の下馬評は高い。
両球団とも豪華かつポイントを捉えた適格な補強をしたと言える。その効果で今季は巻き返しとなるか、昨季の「課題」を振り返りつつ「新戦力」を確認しておきたい。即戦力として期待できる選手に注目するため、ドラフト入団の高校生は避けてオフにどのような補強があったのか見ていく。
阪神はFAで前オリックスの西勇輝、中日を自由契約となったガルシア、米大リーグから一塁手のジェフリー・マルテ、投手のピアース・ジョンソンを獲得。ドラフトでは1位の外野手・近本光司(大阪ガス)をはじめ、4位までのうち3人が社会人出身の即戦力候補となった。

やはり注目は昨季10勝の西と13勝のガルシアだ。昨季の阪神先発陣は勝ち星が思うように伸びず、勝ち頭のメッセンジャーも今季で38歳。小野泰己、才木浩人ら若手ホープもいるが、最下位脱出へはローテーションの整備が急務だった。エース格2枚の加入でその不安は払拭どころか、12球団ナンバーワンの先発陣も予想できる。
クローザーのドリスが7敗を喫するなど、2017年に比べて全体的に成績を落としたリリーフ陣も補強した。昨季ジャイアンツで37登板・43.2回・防御率5.56の成績だったジョンソンが加わり、ドラフト4位の齋藤友貴哉(Honda)も最速153キロの速球とフォークを持ち、1年目からリリーフとして期待できそうだ。
野手はマルテが課題の長打力不足を解消しうるキーマンだ。メジャー通算30本塁打の実績で、エンゼルス時代の2016年に258打数で15本塁打を放っている。昨季の阪神打線はリーグ5位の打率.253で577得点、リーグワーストの85本塁打。糸井嘉男、福留孝介の間に入る右の長距離砲が必要だ。
ドラ1の近本はレギュラー不在の中堅手争いに加わる。中堅手候補には実績のある中谷将大、髙山俊のほか江越大賀、板山祐太郎、島田海吏もいるが決定打に欠けており、俊足好打の近本がレギュラーを奪うだけの活躍をみせられるか注目が集まる。
楽天は浅村栄斗のFA争奪戦に勝利し、ヤクルトを戦力外となった由規、トレードで福井優也と橋本到を獲得。あとは、投手のアラン・ブセニッツ、外野手のジャバリ・ブラッシュの新外国人を獲得。ドラフトでは1位の辰己涼介(立命館大)を中心に、大卒・社会人出身が8人中(支配下指名)6人と即戦力志向の指名となった。

昨季の楽天を振り返ると、打線が深刻な得点力不足に陥った。チーム打率.241・520得点はともに12球団ワースト。個人ではウィーラーの58打点がチームトップで、走者をホームに返す役割の打者が不足していた。
そこで昨季、西武で32本塁打・127打点を挙げた浅村がクリーンナップの重責を担うことになる。現在の球界で屈指のクラッチヒッターのひとりだけにチーム最大の弱点解消に最も適した人材だろう。昨季3Aで打率.317・29本塁打・68打点の好成績をマークしたブラッシュとの並びは楽しみだ。
外野手はブラッシュのほかにも多くの新戦力を獲得している。楽天の外野手は左翼・島内宏明、中堅・田中和基という並びは有力だが、右翼手はレギュラー不在。オコエ、八百板卓丸、岩見雅紀らの競争にブラッシュ、ドラ1の辰巳、7位指名の小郷裕哉(立正大)、巨人から加入した橋本が加わり、控えも含めて戦力の底上げが望めそうだ。
チーム防御率リーグ3位(3.78)とまずまずだった投手陣はさらなる上積みを期待できる。リリーフのブセニッツは昨季不調だったものの、2017年はツインズで28登板・31.2投球回・防御率1.99の好成績。順調に力を発揮できれば、スタッフがそろっているブルペンはますます強固なものになる。
ただ、則本昂大・岸孝之のダブルエースに次ぐ3番手以下の先発投手には課題もあった。先発候補には、キャリアハイ12勝の由規、9勝の福井が加入。実績のある両右腕が新天地で復活を遂げ、先発ローテーションに安定感をもたらせるだろうか。