今、そして未来を見据えた補強を敢行
2017年の5位という結果に追い打ちをかけるように、大谷翔平(現・エンゼルス)、増井浩俊(現・オリックス)、大野奨太(現・中日)と主力3選手が抜け、苦戦が予想されていた2018年の日本ハム。
最終的に優勝には手が届かなかったものの、3位でクライマックスシリーズに進出。一時は、首位の西武をゲーム差「0」まで追い詰め、開幕前の予想を覆す躍進だった。
そして、さらなる高みを目指してシーズンオフに大補強を行い、迎えた2019年。台湾からは王柏融、オリックスからは減額制限(年俸1億円以上は40%)を受け入れずに自由契約となった金子弌大。その他外国人選手でジャスティン・ハンコックとジョニー・バーベイトの2人の投手も獲得している。
ドラフトでは吉田輝星(金足農高/1位)を始め、昨夏の甲子園を賑わせた野村佑希(花咲徳栄高/2位)、万波中正(横浜高/4位)、柿木蓮(大阪桐蔭高/5位)を獲得。2023年の新球場元年に主力として期待したい、という思いもあるだろう。
今シーズンはもちろん、当面の戦力としての補強といえる王や金子、そしてその他外国人選手たち。一方ドラフトでは、高校生をメインに中長期的なチームづくりを意識したことがうかがえる。
高卒新人投手は二軍スタートが通例
松坂大輔(現・中日)や田中将大(現・ヤンキース)は例外だが、一般的に高校からプロに入る選手は(期間はそれぞれだが)二軍で鍛えることが多い。日本ハムにいたダルビッシュ有(現・カブス)や大谷翔平(現・エンゼルス)も入団当初のキャンプは二軍スタートだった。同様に吉田も春季キャンプは二軍スタートが決定している。しかし、決して開幕一軍や開幕投手への道が閉ざされたわけではない。
1月19日に行われたニッポンハムグループ展示会では、栗山監督が「開幕投手はまだ言い渡していない」と発言。過去に開幕投手として高卒新人選手が抜擢されたのは3人のみと、可能性は低いかもしれないが吉田もその候補のひとりということを仄めかしている。
就任1年目の2012年にはプロ2年目の斎藤佑樹を開幕投手に抜擢したこともある(結果は初完投勝利)。その他にも、大谷を「二刀流」に育成し「1番・投手」としてスタメン起用。また、2018年にMLBで取り入れられ始めた「オープナー」も意識しているような発言もある。
このように常識にとらわれない栗山監督だけに、「もしかして吉田が先発に…」と思うファンも多いはずだ。
大本命はチーム勝ち頭の上沢直之か
しかしながら、現時点で本命と考えられるのは上沢直之だろう。2018年にチーム勝ち頭となる11勝をマークし、ブレイクを果たした新エース。1年限りの活躍で終わらせないためにも、開幕投手で勢いづけたいはず。
その他、来日1年目の2018年から2桁勝利を達成したニック・マルティネスは、上沢に次ぐ存在としてローテーションを守ってきた。また、2015年の新人王でプロ5年目を迎える有原航平も故障で出遅れていたが8勝をマーク。2年ぶりの大役を目指している。
そして金子。開幕戦の相手は古巣オリックスだ。常識にとらわれずドラマを好む栗山監督が、開幕戦で先発起用してもおかしくない。もちろん実績も申し分ない。
上沢、マルティネス、有原、金子と開幕投手候補は数多い。果たして誰が大役を任されることになるのだろう。就任8年目を迎える栗山監督の采配に期待したい。
※数字は2018年シーズン終了時点