「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

選手分析「“育成の星”の進化した直球」~DeNA #47 砂田 毅樹~

野球ボールⒸShutterstock.com
このエントリーをはてなブックマークに追加

注目すべきは対右打者投球

2018年DeNA:主な救援投手の成績

2013年の育成ドラフト1位でDeNAに入団し、2年目の途中に支配下登録を勝ち取った砂田毅樹。17年に貴重な左のリリーバーとして地位を確立すると、18年はチーム最多の70試合に登板し、24ホールドを挙げる大車輪の働きを見せた。

2015~18年:左右打者別被打率

そんな砂田の躍進を語るにあたり、注目したいのが対右打者の投球である。デビューから右打者との相性の悪さが課題だったが、2017年に一定の改善を見せると、18年には被打率.205をマーク。これは、リーグの並み居る左腕の中でも屈指の数値だ。今回は、この右打者に対する成績向上の要因を探っていきたい。

2015~18年:対右打者球種別被打率

多彩な球種を操る砂田だが、投球の軸となるのはストレートとスライダーであり、2018年はこの2球種がともに右打者に対して優れた被打率を残した。ただ、年度別の成績を見ていくと、デビュー当初はスライダーこそ有効に機能していたものの、ストレートはむしろ打ち込まれており、これが対右打者の成績が振るわない一因だったことが分かる。

2015~18年:対右打者ストレートゴロ割合

ストレートが加わり課題克服

では、なぜ右打者に対するストレートの被打率が良化したのか。理由のひとつに挙げられるのが、打球に占めるゴロの割合が上昇したことだろう。一般的に、ゴロはフライやライナーよりも安打になりにくいが、2018年は打球の65.2%をゴロが占めたことで、痛打のリスク低減につながっていた。

2015~18年:対右打者球種別奪三振内訳
2015~18年:対右打者三振割合

さらに、決め球として威力を発揮した点も大きい。2018年は右打者からストレートで10個の三振を奪い、キャリアで初めてスライダーの奪三振数を上回ったのだ。結果として、対右打者の三振割合も、自己最高の19.5%をマーク。伝家の宝刀・スライダーに、ストレートというもうひとつの武器が加わったことが、課題克服の要因といえるだろう。

ここまで、通算49ホールドを挙げている砂田。これは、2018年オフに巨人・山口鉄也が引退したことで、育成ドラフト入団選手では現役最多の数になった。契約更改後の会見では、「自分は甲子園に出てないけど、一番下からここまで来られた」と、育成出身者としての自負をのぞかせた左腕。次代を担う“育成の星”として、2019年シーズンもフル回転の活躍を期待したい。


企画・監修:データスタジアム、執筆者:矢島 慎太郎