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中日打線の課題を解消した1番・平田良介「昇竜復活」のキーマンとなるか

2019 1/14 15:00青木スラッガー
バッターⒸShutterstock.com
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初の規定打席打率3割が.329のハイアベレージ

2018年の中日は、チーム防御率12球団ワーストと投手力に大きな課題を残した一方、打撃面では一定の成果があった。2017年の打率.247・487得点から、打率.265・598得点に改善。12球団最多、規定打席到達7人という固定レギュラー野手陣で来季の強竜打線復活を予感させた。そのキーマンとなるのは、13年目で飛躍を遂げた平田良介ではないだろうか。

2017年は故障の影響もあり66試合の出場にとどまった平田。しかし、年間を通してコンディションを維持した昨季は、自身最多の138試合に出場し568打席に立った。規定打席以上で初の打率3割達成がリーグ3位のハイアベレージ(.329)。2015年以来2度目のベストナインこそ逃したが、総合的にキャリアハイの成績を残した。

平田のこれまでのキャリアハイは8年目の2013年になるだろう。規定打席には届かなかったものの、自身最多の15本塁打を放ち、打率も.289をマーク。そこからは2014年に開幕4番スタメンに起用されるなど、中軸打者の役割を任されるようになり、安定してシーズン2桁本塁打を記録していった。

それに比べると長打力に関しては下がった形だが、現在本塁打は9本で、長打率は.456(8年目は.488)。出塁率が.410で初めて4割を超え、出塁率と長打率を足した打撃の総合指標「OPS」は8年目を上回り、自身最高の.866を記録している。

中軸へつなぐ1・2番に課題

平田といえば、大阪桐蔭高校時代は甲子園で1試合3本塁打を放つなど、高校野球史上に名を残すほどのホームランバッター。個人応援歌にある『竜の主砲よ目醒めろ』というフレーズは、長距離砲として「今の姿はまだ完成形ではない」というファンの期待のあらわれだろう。

その平田が安打に重きを置いたことで、中日打線は中軸が充実した。中日打線は外国人スラッガー2人の存在が大きく、来日3年目のビシエドが打率.348・26本塁打・99打点と圧倒的な成績を残し、新加入のアルモンテも打率.321・15本塁打・77打点の好成績をマーク。前半戦までは平田も主に3番や5番を務め、3人が打線の中心だった。

ところが、中軸が充実していた一方、そこへつなぐまでの形がなかなか定まらなかった。2017年には打率.313だった大島洋平が2018年は打率.274・出塁率.329にとどまり、トップバッターに定着して新人王に選出された京田陽太も打率.235・出塁率.266と不振。開幕から入れ替わりで1番打者を務めた俊足打者2人だったが、なかなかリードオフマンの役目を果たすことができなかった。

終盤に登場した中日打線の新たな形「1番・平田」

そこでトップバッターとして白羽の矢が立ったのが、盗塁こそ多くないものの、足が速く優秀な走塁能力を持っている平田だ。

2018年8月14日、平田はカード頭のDeNA戦で1番スタメン出場すると、3連戦で12打数7安打1本塁打6得点を記録。十二分にリードオフマンの役割を果たした。以降はシーズン終了まで1番の打順に定着。1番出場時は35試合で打率.347・出塁率.417・長打率.507・3本塁打とシーズン成績を上回る数字を残している。

2018年プロ野球_中日_平田・大島・京田打順1成績

昨季は、平田以外の1番打者が力を発揮できなかった中、出塁率が4割超えの中日。中軸を打つ選手がいてこそだが、長打でもプレッシャーをかけられる平田の1番定着は大きい。そして、残留が決定したビシエドとアルモンテ。昨季と変わらないラインナップが期待できる今季、トップバッターとして中日を復活に導く平田の姿を見ることができるのだろうか。