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6年連続Bクラスからの脱却へ!根尾を獲得した中日は上位浮上なるか?

2019 1/5 11:00勝田聡
中日,2018年,成績,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

球団ワーストの6年連続Bクラス

2013年から5年連続Bクラスと低迷していた中日は昨年も苦しいシーズンだった。開幕カードで広島に3連敗、2カード目も初戦を落とし4連敗でスタートする。その後も4月半ばに5連敗、下旬には4連敗と序盤から波にのることができなかった。

5月は13勝11敗と勝ち越したが、2018シーズンの月間勝ち越しはこの1ヶ月だけだった。 最終的に阪神を交わし5位に浮上したものの、球団ワーストとなる6年連続Bクラスとなってしまった。

中日,2018年,成績,ⒸSPAIA

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2018シーズンの中日はチーム打率.265(2位)ながら、598得点(4位)と得点に結びつかなかった。

個人単位では、ダヤン・ビシエドが打率.348で首位打者を獲得し、平田良介もキャリアハイを更新する打率.329と奮闘した。しかし、広いナゴヤドームを本拠地としていることも影響してか、チーム本塁打は97でリーグ5位だった。

一方でチーム防御率4.36はリーグ最下位。規定投球回に到達したのは、新外国人のオネルキ・ガルシアだけだった。また、中継ぎ陣も田島慎二(7.22)、又吉克樹(6.53)、岡田俊哉(5.06)、福谷浩司(5.00)といった中堅どころが総崩れ。「勝利の方程式」を組むことができなかった。

終盤戦で佐藤優、途中加入の新外国人選手ジョエリー・ロドリゲスが結果を残したが時すでに遅く、巻き返せなかった。

しかし、笠原祥太郎、藤嶋健人といった若手投手は結果を残しつつあり、2019シーズンの飛躍が期待されている。

大型補強はなくともドラフト1位で根尾昂を獲得

このオフ、中日は森繁和監督から与田剛監督へと指揮官が変わった。与田氏は監督未経験だが、2018年は楽天で投手コーチを務めており、2009年の第2回ワールド・ベースボール・クラシックでは投手コーチを歴任。指導者としての経験はある。

一方、戦力面では大きな流出があった。唯一の規定投球回到達者であり、チーム最多勝となる13勝をマークしたガルシアが退団となったのだ。帰国の際には戻ってくることを示唆していたが、条件面で折り合わず。さらには、同リーグのライバルでもある阪神に入団となり、中日にとっては2重の痛手となってしまった。

だが、ビシエド、ソイロ・アルモンテ、スティーブン・モヤ、ロドリゲスと実績を残したその他の選手たちはいずれも残留。とくにビシエドは3年契約を新たに締結しており、チームにとっては心強い。

新外国人選手の補強は現時点で左腕のエンニー・ロメロのみだが、ドミニカを中心とした「森ルート」での獲得は今後もあるかもしれない。

外国人選手、FA選手といった大型の補強はないが、ドラフトは大成功だった。1位で注目の根尾昂(大阪桐蔭高)を獲得し、2位でドラフト1位候補にもなっていた梅津晃大(東洋大)を指名。3位で即戦力右腕の勝野昌慶(三菱重工名古屋)を獲得している。

とくに勝野はドラフト後に行われた社会人野球日本選手権でもチームを優勝に導き、自身はMVPに輝いた。1年目から即戦力としてローテーション入りが期待されている。

4位、5位では石橋康太(関東一高/捕手)、垣越建伸(山梨学院高/投手)の高校生、6位では滝野要(大阪商大/外野手)と大卒の外野手を指名した。

中日の外野陣はアルモンテ、平田、大島洋平、そしてモヤと控えているが、次世代の選手は育っていない。本来は二塁の亀澤恭平が練習を行う予定があるほどだ。まずは控えから、レギュラーを目指したいところ。

その新人のなかで注目を集めているのはやはり根尾だ。これまでにも多くの報道がなされており、周囲の期待も大きい。愛読書が重版となるほどのフィーバーぶり。しかし、高卒1年目ということもある。すぐに活躍できるほどプロ野球の世界は甘くない。

高卒野手が1年目に新人王を受賞したのが、1988年の立浪和義(中日)にまで遡らなくてはいけないことからもそれはよく分かる。じっくりと成長を促したいところだが、与田新監督はどのような方針で根尾を育成するのだろうか。

チームの順位はもちろんだが、金の卵の育成方針にも注目が集まる。