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広島、丸と新井 退団も大型補強せず 育成しながら4連覇を目指す

2019 1/1 15:00勝田聡
広島カープ,2018年,成績,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

4月下旬から首位を譲らず3連覇達成

広島は2016年・2017年とセ・リーグ2連覇を果たし、今シーズンは3連覇を目指す「王者」として開幕を迎えた。開幕カードで中日相手に3連勝を決め、次のヤクルト3連戦も2勝1敗で勝ち越し。その勢いのまま3月4月を17勝10敗で乗り切り、4月末の時点で首位に立っていた。

その後、交流戦では7勝11敗と負け越したものの、同一リーグの対戦に戻るといきなり6連勝。夏場以降も勢いは衰えず、9月26日にチーム史上初の3連覇を達成した。

クライマックスシリーズは3連勝で巨人を退け、2年ぶりの日本シリーズ出場を決めたが、日本シリーズではソフトバンクに敗れ、またも日本一を逃した。

広島カープ,2018年,成績,ⒸSPAIA

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各数字を振り返ると、打率.262はリーグ3位ながら、721得点は2位のヤクルトに63得点差をつけリーグトップ。丸佳浩、鈴木誠也を中心とした打撃陣の活躍で優勝をもぎ取った。

もちろん、ふたりだけが活躍したわけではない。丸、鈴木は前半戦で故障により離脱期間があり、その期間中は野間峻祥、松山竜平らがしっかりとポジションを埋め、戦力の低下を最小限に食い止めたのである。

投手陣は防御率こそ4.12と3位だが、大瀬良大地がエースとなり15勝、勝率.682で最多勝、最高勝率の2冠に輝いている。

また、クリス・ジョンソン、ヘロニモ・フランスアの両外国人投手も奮闘。とくにフランスアは5月に育成から支配下に登録されると中継ぎとして大車輪の活躍を見せる。8月には日本タイ記録となる月間18試合に登板。防御率0.51と圧倒的な成績を残し、最強セットアッパーとして君臨した。

丸、新井と中心選手2名が退団

このオフの広島は大きな流出が2つあった。そのひとつが丸佳浩のFA宣言だ。丸は2年連続MVPを受賞したチームの看板打者であり、主砲だ。

今シーズンは離脱があり125試合の出場に留まったが、打率.306、39本塁打、97打点と文句なしの成績を残している。また、130四球は両リーグトップであり、歴代でも4位タイ。丸の上には王貞治氏しかいないことからもその凄さはわかるはずだ。

そして守備でも6年連続ゴールデングラブ賞に輝いており、まさにチームの中心選手だった。その丸がFAの末に巨人へ移籍したのはとてつもなく大きい。

そしてもうひとり。「新井さん」の愛称で親しまれてきた新井貴浩が現役を引退した。各地で行われた引退セレモニーでも拍手喝采を受けた精神的支柱の穴は、ある意味、丸の退団よりも大きいかもしれない。

一方で補強はどうだろうか。12月19日時点までの動きを見ると、カイル・レグナルト、ケーシー・ローレンスと2名の外国人投手と契約している。また、楽天とのトレードで菊池保則を獲得。菊池の起用法は未定だが、楽天時代には先発、中継ぎ両方の経験があるのは心強い。

ドラフトでは1位指名で高校生遊撃手の小園海斗(報徳学園高)を3球団強豪の末に抽選で獲得。田中広輔、菊池涼介と二遊間は固まっているが、ともにFA権の取得まであとわずか。次世代の要として育成し、一軍の主軸に育て上げるつもりだ。

ドラフト2位の島内颯太郎(九州共立大)はエース・大瀬良大地の後輩にもあたり、即戦力としての期待がかかる。6位の正隋優弥(亜細亜大)も大卒ということで早めの活躍が求められそうだ。

林晃太(智弁和歌山高/3位)、中神拓都(市岐阜商/4位)、田中法彦(菰野高/5位)、羽月隆太郎(神村学園高/7位)と3位から5位、そして7位で高校生を指名した。

大きな流出があった広島だが、現時点での大型補強は行っていない。ドラフトを見ても高校生が中心となっており、育成しながら4連覇を目指す方針のようだ。