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選手分析「トップバッター“虎の巻”」~阪神 #33 糸原 健斗~

野球ボールⒸShutterstock.com
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苦戦の中、輝きを放った糸原

2017・18年:打撃成績

17年ぶりの最下位に沈んだ阪神。苦戦が続いたチームで、輝きを放った選手の一人が糸原健斗だろう。2年目の今季は主に1番打者として打線をけん引し、チーム唯一の全試合出場を果たすなど、飛躍のシーズンとなった。今回は、虎の新星にスポットを当ててみよう。

2018年セ・リーグ:四球ランキング

今季は出塁率.390を記録した糸原。その要因は、強打者もいる中でリーグ4位となった四球数にある。

長距離打者は相手に長打を警戒されることでボールゾーン中心の配球になる傾向があり、結果として四球も増えやすい。今季も広島・丸を筆頭に30本塁打をクリアした選手が上位にランクインしているが、糸原の本塁打は1本のみ。

また、69年にわたるセ・リーグ史を振り返っても、糸原の86四球はシーズン5本塁打以下の選手で史上最多となっており、異質な存在といえる。

コンタクト率はリーグトップ

2018年:ゾーン別スイング率

四球を選ぶためには、ボール球に手を出さないことが必須条件となる。そこで糸原のボールゾーンスイング率を見ると、リーグ平均より約10ポイントも優れた数字を残した。一方で気になるのが、ストライクも見逃がす傾向にあることだ。

投球数も全2664球のうち1374球がストライクゾーンへの投球で、割合にすると51.6%。これはリーグの規定打席到達者で最も高い。ストライクを見逃すことは打者にとって不利なカウントが増え、三振を喫するリスクが考えられる。

2018年セ・リーグ:コンタクト率ランキング

ただ、糸原に関してはそのリスクは低い。なぜなら、彼は卓越したバットコントロールの持ち主だからだ。

今季はスイングしてバットに当たった割合を示す「コンタクト率」がリーグトップを記録。じっくり投手と対峙(たいじ)する打撃スタイルは、バットに当てる技術に秀でる糸原だからこそ可能なのだろう。

2018年セ・リーグ:四球が三振を上回った打者一覧

結果を見ても、糸原の四球数は三振数を上回る。これは今季のセ・リーグで4人しかいない。プロの世界でコンスタントな活躍を続けてきた打者が名を連ねる中、2年目の糸原がこの域に達していることは特筆していいだろう。

虎のリードオフマンを担った今季終了後、新キャプテンに任命された背番号33。巻き返しを図るチームの“トップ”を託される男の打席から、今後も目が離せない。

企画・監修:データスタジアム、執筆者:泉 熙