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石井GM就任の楽天、浅村獲得で巻き返しへ

2019 1/7 11:00勝田聡
松井裕樹,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

借金24で昨季の3位から最下位転落

一昨年は夏場まで優勝争いを繰り広げたものの、終盤に失速し3位となった楽天。大きな戦力ダウンもなく、昨シーズンも優勝争いに加わるものと思われていた。しかし、開幕戦こそ白星を飾ったが2戦目から5連敗。4月下旬には7連敗を喫し、3・4月を6勝19敗1分と出足で躓いた。

その後も波にのることはできず、6月16日の試合に敗戦し借金が「20」になったことで梨田昌孝監督が辞任する。平石洋介監督代行で残りのシーズンを戦うこととなった。

平石監督代行効果なのか、7月は12勝7敗と一時的に息を吹き返したが、勢いは持続しない。58勝82敗3分の借金24でシーズンを終えた。一昨年のクライマックスシリーズ出場から、最下位に転落してしまった。

楽天成績表

ⒸSPAIA

チーム数字を見てみると打撃陣が結果を残せなかったことがよくわかる。打率.241、520得点、69盗塁はいずれもリーグ最下位だった。132本塁打もリーグ4位と完全に不発。ジャフェット・アマダーの薬物使用による出場停止、ゼラス・ウィーラーの故障、カルロス・ペゲーロの不振と外国人選手がそろって結果を残せなかったのが大きく響いた。

そのなかで光ったのが田中和基だ。2年目の田中はシーズン中盤から「1番・中堅」を任されると規定打席に到達し新人王も受賞。日米野球では日本代表にも選ばれている。また、「大砲候補」と呼ばれ続けながら、結果が出なかった内田靖人も12本塁打と覚醒の兆しを見せた。若手ふたりが希望となりそうだ。

投手陣では岸孝之がリーグ唯一の防御率2点台を記録し、最優秀防御率のタイトルを獲得。11勝4敗と7つの貯金を作り孤軍奮闘した。大きな誤算となったのは松井裕樹だ。序盤からリリーフ失敗が続き、中継ぎへと配置転換され二軍落ちも経験した。シーズン中盤以降に復活したが時すでに遅く、上位浮上のきっかけとはならなかった。

最終盤ではテスト的な意味合いで先発起用もされたため、今シーズン以降の起用法に注目が集まっていた。本人は契約更改後の会見で「救援で力を貸して欲しい」と平石監督から電話があったことを明らかにしており、来シーズンは中継ぎとして復活を目指す。

攻守の要に浅村栄斗を獲得

楽天は6月半ば以降、平石監督代行で戦ってきた。その平石監督代行が監督に昇格するのか、外部から新たな人材を招聘するのかに注目が集まっていたが、石井一久GMは続投を発表。「松坂世代」として初めてNPB球団の監督に就任することになった。また小谷野栄一、後藤武敏と昨シーズン限りでユニフォームを脱いだ同じく松坂世代のふたりもコーチに就任している。

戦力面では大きな補強があった。西武からFAした浅村栄斗をソフトバンクやオリックスとの争奪戦を制し、獲得したのだ。これで二塁が完全に埋まり、打線の核ができたことになる。その他にも外国人選手として中継ぎのアラン・ブセニッツ、主軸候補のジャバリ・ブラッシュと2名を補強済みだ。浅村の後ろを打つ選手が重要となるだけにブラッシュにかかる期待は大きい。

また、金銭トレードで橋本到(前巨人)、戦力外からは由規(前ヤクルト)をそれぞれ獲得。由規は育成契約だが、夏場以降の戦力になることが期待されている。両選手ともに仙台育英高校出身の地元選手だけに一花咲かせたいところだ。

ドラフトでは藤原恭大(大阪桐蔭高→ロッテ)を外したものの、辰巳涼介(立命館大)を獲得。即戦力の外野手として期待がかかっている。2位では大卒捕手の太田光(大商大)を指名した。嶋基宏の後継者が育っていないことから太田も次世代の正捕手候補となりそうだ。

上位で野手を確保し、中位、下位では引地秀一郎(倉敷商高/3位)、弓削隼人(スバル/4位)、佐藤智輝(山形中央高/5位)、鈴木翔天(富士大/8位)と投手を4人獲得した。内野手の渡辺佳明(明治大/6位)と外野手の小郷裕哉(立正大/7位)もそれぞれ獲得しており、全体的にバランスもよく即戦力と育成両睨みの指名と言えるだろう。

低迷したチームは浅村や外国人選手の補強で蘇るだろうか。平石監督の手腕に注目したい。